Visaは、国際送金の効率化を目指し、ステーブルコインを活用したパイロットプログラムを開始しました。この取り組みは、米国でステーブルコインに関する初の連邦規制の枠組みを確立したGENIUS法案（Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act of 2025）の可決と時を同じくして発表されました。この法案は2025年7月18日に成立し、ステーブルコインの発行者に対し、発行額と同額の準備資産を米ドル、米国債、その他の政府発行資産で保有することを義務付けています。
Visaのこの新しいパイロットプログラムでは、企業はVisa Directを通じて、国際送金の資金を従来の現地通貨ではなくステーブルコインで事前に準備できるようになります。これにより、国際取引の簡素化と、事前に現地通貨を準備する必要性の低減が期待されます。Visaは、このプログラムを通じて既に2億ドル以上のステーブルコイン決済を処理しており、その実績は同社の年間決済総額16兆ドルのごく一部に過ぎませんが、デジタル資産を規制された信頼性の高い環境に統合する上で重要な一歩となります。
GENIUS法案は、ステーブルコインの発行者に対して、マネーロンダリング対策（AML）プログラムの遵守や、ステーブルコイン保有者への利息支払い禁止などのコンプライアンス要件を課しています。このプログラムは、銀行、送金業者、その他の金融機関を対象としており、国際送金の決済時間を数日から数分に短縮し、流動性を解放することを目的としています。
このパイロットプログラムは、2026年4月までに限定的な利用が可能になる予定です。Visaは、この取り組みを通じて、ブロックチェーン技術のプログラム可能性とVisaのグローバルネットワークの規模と信頼性を組み合わせ、国際送金の近代化を推進しています。
この動きは、金融業界におけるデジタル資産の統合が進む中で、Visaのような大手金融サービス企業がステーブルコインを主流の国際決済システムに積極的に取り入れる姿勢を示しており、今日の金融イノベーションの動向と合致しています。この新しい決済方法は、より効率的でコスト効果の高いグローバルコマースへの道を開く可能性があります。