ステーブルコインの採用が世界的に加速する中、その取引をより効率的かつスケーラブルに処理するための新しいレイヤー1（L1）ブロックチェーン「Stable」が登場しました。このプラットフォームは、従来のブロックチェーンが抱えるスケーラビリティの課題に対処し、テザー（USDT）やペイパル（PYUSD）といった主要なステーブルコインをネイティブなガス・トークンとして統合することで、ユーザーエクスペリエンスの向上を目指しています。
「Stable」は、USDTを支払いとガス料金の両方に使用できるように設計されており、テザーおよびビットフィネックスからの支援を受けています。2025年9月22日には、ペイパル・ベンチャーズからの投資を受け、ペイパルのPYUSDもこのネットワークで利用可能になりました。これは、主要なステーブルコイン発行体が専用のブロックチェーンインフラを構築するという広範なトレンドの一部と見なされています。ペイパル・ベンチャーズからの戦略的投資は、PYUSDの普及とユーティリティを複数のブロックチェーンエコシステムに拡大する取り組みの一環です。
ステーブルコイン市場は、2025年5月時点で2460億ドルを超える市場規模を記録し、2028年までに2兆ドルへの拡大が見込まれています。この成長は、米国のGENIUS法や欧州のMiCA（Markets in Crypto-Assets）規制のような規制の明確化によって後押しされています。専門家は、ステーブルコインをガス・トークンとして使用するアプローチが、ユーザーが別途ネイティブトークンを保有・管理する必要をなくし、取引プロセスを劇的に簡素化すると指摘しています。これにより、デジタル資産の普及が加速されることが期待されます。
これらの新しいL1ブロックチェーンは、サブ秒単位の決済速度と手数料の削減を特徴としており、クロスボーダー決済や日常的な商取引におけるステーブルコインの利用をさらに促進する可能性を秘めています。この進化は、金融取引の効率化とアクセシビリティ向上という、より大きな流れの一部であり、デジタル経済の発展に新たな機会をもたらすものと言えるでしょう。