大手決済プラットフォームであるPayPalは、米国ユーザー向けに個人間(P2P)決済システムを拡張し、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、そしてPayPal独自のステーブルコインであるPayPal USD(PYUSD)の直接送受信を可能にしました。この革新的な機能は「PayPalリンクス」と呼ばれ、パーソナライズされた使い捨ての決済リンクを生成することで、デジタル資産の日常的な利用を促進し、従来の金融と分散型金融(DeFi)の架け橋となることを目指しています。
この新機能により、ユーザーはテキストメッセージ、メール、またはチャットを通じてユニークな決済リンクを共有できます。受信者はこのリンクをクリックするだけで、PayPalアプリ内で支払いを受け入れることができ、セキュリティのために一定期間後にリンクは失効します。このシステムは、PayPalの既存の「PayPalミー」サービスを補完しつつ、事前に金額を指定できる点が特徴です。さらに、この機能はVenmoとも連携し、対応する外部ウォレットへの仮想通貨送金も可能になります。2025年9月16日時点の市場データによると、ビットコインは約117,033ドル、イーサリアムは約4,522ドルで取引されており、PYUSDは1ドル近辺で安定した値動きを見せています。
PayPal USD(PYUSD)は、米ドルに1対1でペッグされたステーブルコインであり、その安定性と規制された裏付けにより、仮想通貨取引におけるボラティリティ(価格変動)への懸念を軽減します。これにより、仮想通貨は単なる投資対象から、日常的な取引に利用できる実用的な手段へと進化します。PayPalは、4億を超えるアクティブアカウントを持つ広範なネットワークを活用することで、仮想通貨の主流採用を加速させる大きな可能性を秘めています。
専門家の間では、このPayPalの動きはデジタル資産の利用を促進し、従来の金融システムとDeFiの間のギャップを埋める重要な一歩と見られています。特に、米国における個人間送金が税務申告の対象外となる点は、仮想通貨の日常的な利用をさらに簡素化する要因となります。この機能拡張は、PayPalが「ペイ・ウィズ・クリプト」などの以前の取り組みを発展させ、デジタル通貨をより身近なものにするという戦略の一環です。2025年9月は、ビットコインが季節的な傾向に反して好調なパフォーマンスを示しており、市場全体が活気づく中でのこの発表は、仮想通貨エコシステム全体に新たな勢いをもたらす可能性があります。
PayPalのこの最新の取り組みは、デジタル資産をよりアクセスしやすく、実用的なものにすることへの同社のコミットメントを強調するものです。これにより、仮想通貨はより多くの人々にとって身近な存在となり、グローバルな金融インフラの進化に貢献することが期待されます。