マーシャル諸島、ステラ基盤のデジタル債券で全国UBIプログラムを開始

編集者: Yuliya Shumai

マーシャル諸島共和国は、2025年11月に、国家的なユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)プログラムである経済的純資源配分(ENRA)の四半期給付を開始した。これにより、同国は世界で初めて全国規模でのオンチェーンUBI給付を実現した。この取り組みは、従来の物理的な現金給付の非効率性を解消し、ステラブロックチェーンを基盤とした即時デジタル送金への移行を意味する。

プログラムの核となるのは、完全に担保されたデジタル発行の主権債であるUSDM1である。USDM1は米ドル建てで発行され、短期米国債によって1対1で裏付けられている。このデジタル債券は、独立した信託機関によって分別管理されており、その構造はニューヨーク州商業法に準拠した伝統的なブレイディ債の枠組みを踏襲している。この金融工学的な選択は、国の財政的安定性と国際的な金融慣行との整合性を確保する意図がある。

給付金の分配は、ステラ開発財団(SDF)が提供した数百万ドル規模の助成金に支えられたステラ送金プラットフォームを通じて行われる。対象となる市民には、約200米ドルが直接送金される。送金先となるのは、Crossmint社が開発したカスタムのデジタル市民ウォレット「Lomalo」である。Lomaloウォレットは、シードフレーズのような複雑な暗号学的要素を排除し、クロスミントがユーザー認証情報を管理する仕組みを採用することで、一般市民の利用を念頭に設計されている。市民は利便性のために、紙の小切手や従来の銀行預金を選択するオプションも保持している。

このデジタル化の背景には、マーシャル諸島が抱える深刻な地理的・金融的課題がある。同国は1,200の島々から成り、広大な海域に点在しているため、物理的な現金の輸送は極めて非効率的かつ高コストであった。さらに、2008年の金融危機以降、コルレス銀行への依存度が高まり、金融システムからの切り離しリスクが常態化していた。SDFのポール・ウォン特別プロジェクトディレクターは、このデジタル金融インフラが、万が一コルレス銀行との接続が途絶した場合の重要な代替手段となると指摘している。また、デジタル送金により、現金給付に伴う物理的な脅威のリスク低減という福祉上の利点も強調されている。

SDFは、このプロジェクトを金融包摂を促進するための重要な事例と位置づけている。SDFのCEO兼エグゼクティブディレクターであるデネル・ディクソン氏は、ステラネットワークがまさにこのような全国規模のオンチェーンUBI実現のために構築されたと述べている。Crossmint社は、フィンテックアプリや企業財務管理など多様なユースケースでスマートウォレットを提供しており、MoneyGramやSantander Bankといった機関での採用実績がある。マーシャル諸島によるUSDM1とLomaloを用いたUBIの全国展開は、分散型台帳技術が主権国家の金融サービス提供とレジリエンス強化に貢献する具体的な実証例として国際的な注目を集めている。

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ソース元

  • Decrypt

  • Vertex AI Search Grounding API

  • Vertex AI Search Grounding API

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