ブルガリアは、2026年1月1日をもって欧州連合（EU）共通通貨ユーロを導入し、ユーロ圏の21番目の加盟国となることが正式に決定しました。欧州理事会がブルガリアのユーロ導入を承認したことで、同国は長年にわたる経済的収斂基準の達成という目標を達成しました。
欧州委員会は、ユーロ導入によりブルガリア企業はユーロ圏との取引がより円滑になり、資金調達が容易になるだけでなく、域外からの投資も拡大すると見ています。具体的には、為替リスクの排除や取引コストの削減が期待され、これにより貿易と投資の活性化が促進されるでしょう。欧州中央銀行（ECB）のフィリップ・レーン理事は、ブルガリアの経済的収斂に向けた献身的な努力を称賛しています。
ブルガリアのユーロ導入は、欧州経済圏全体のさらなる一体化を象徴する出来事です。ブルガリアがユーロ圏に加わることで、東欧と西欧の経済的な結びつきが強化され、EU全体の結束力が高まる可能性があります。クロアチアが2023年にユーロ圏に加盟して以来、ブルガリアの加盟はユーロ圏拡大の新たな一歩となります。
ブルガリアは、ユーロ導入の前提条件である欧州為替相場メカニズム（ERM II）に2020年7月10日から参加しており、その中心交換レートは1ユーロ＝1.95583レフに固定されています。この固定レートは、ユーロ導入時にもそのまま維持されます。インフレ率についても、2025年4月時点のHICPインフレ率が12ヶ月平均で2.7%と、基準値である2.8%を下回っており、物価安定の基準も満たしています。
ブルガリア政府は、国民への広報活動や段階的な制度整備を通じて、円滑なユーロへの移行を目指しています。2025年8月からは、レフとユーロの二重価格表示が開始され、2026年末まで継続される予定です。国民の意見は賛否両論ですが、ブルガリア経済の安定と成長のためにはユーロ導入が不可欠であるという見方が支配的です。