日本は、100歳以上の高齢者が約9万5千人に達し、長寿の新たな節目を迎えています。この数は54年連続で増加しており、昨年だけで約3千人増加しました。百寿者の約88%が女性です。
この長寿達成の背景には、複数の要因が複合的に作用しています。伝統的な和食は、魚、大豆製品、野菜、緑茶を豊富に含み、栄養バランスに優れ、生活習慣病の予防に寄与すると考えられています。魚や大豆の摂取量が多いことは、日本人の長寿の秘密の一つとして指摘されています。また、健康意識の高さや、人間ドックなどの検診受診機会の多さも、病気の早期発見・早期治療を可能にし、健康寿命の延伸に貢献しています。
国民皆保険制度に支えられた質の高い医療へのアクセスしやすさも、長寿に寄与する重要な要素です。この制度により、誰もが必要な時に適切な医療を受けられる環境が整っています。
しかし、この長寿という偉業は、社会保障制度への負担増大や、労働力人口の減少といった課題も同時に提起しています。少子高齢化が急速に進む中で、持続可能な社会システムを維持していくための工夫が求められています。
遺伝的要因も影響する可能性はありますが、社会、文化、公衆衛生といった環境要因が、日本の世界をリードする長寿統計の主な推進力であると専門家は見ています。これらの要因が組み合わさることで、日本は長寿国としての地位を確立しています。個々人の健康への意識と、それを支える社会全体の仕組みが調和した結果と言えるでしょう。