コロンビア沿岸大学（CUC）が主導する「センテナリオ・プロジェクト」は、100歳以上の長寿を達成する人々の生活習慣や生物学的特徴を明らかにし、健康的な老化を促進するための公衆衛生政策に貢献することを目指しています。この研究は、世界的に高齢化が進む中で、長寿の秘訣を探る上で重要な洞察を提供しています。
コロンビア全土のセンテナリアン（100歳以上の人々）の人口統計学的分析により、特定の地域にその集中が見られることが判明しました。これらの地域は、しばしば豊かな自然環境、すなわち植生、農地、森林、水域に囲まれた田園地帯であることが多いです。具体的には、ボリバル県やバジェ・デル・カウカ県、そしてバジェ・デ・テンサ地域などでセンテナリアンの割合が高いクラスターが確認されています。これは、環境要因が長寿に影響を与える可能性を示唆しています。
長寿研究で知られる「ブルーゾーン」の地域と同様に、コロンビアのセンテナリアンも特定のライフスタイルを共有していることが示唆されています。これには、植物ベースの食事が中心で、定期的な身体活動、強固な社会的ネットワーク、そしてストレスの少ない生活様式が含まれます。例えば、123歳とされるマリア・アントニア・クエロさんは、魚やバナナといったシンプルな食品に加え、笑うこと、屋外で過ごすこと、頻繁に歩くことなどが長寿の秘訣だと語っています。これらの要素は、遺伝的要因と環境要因が相互作用し、健康的な老化を促進するという専門家の見解とも一致します。
生物学的な側面では、センテナリアンは一般的に、同年代の他の人々よりも加齢に伴う慢性疾患の有病率が低い傾向があります。高血圧や慢性腎臓病などの疾患が見られるものの、その頻度は予想よりも低いことが報告されています。また、遺伝的変異やエピジェネティックな変化が、100歳を超える長寿に不可欠な役割を果たしているという理論も支持されています。
このプロジェクトから得られた知見は、コロンビア国内の健康的な老化を支援するための政策立案に不可欠な情報源となります。経済的・社会的な格差が存在する中でも、センテナリアンに見られる高い回復力と生活満足度は、高齢者の生活の質を向上させるための戦略開発に貴重な示唆を与えます。コロンビアのセンテナリアン・プロジェクトは、単に長寿の記録を追うだけでなく、より長く、より健康的な人生を送るための普遍的な原則を解き明かす鍵となるでしょう。