スペインでは、ペットと共に旅行する旅行者の増加に伴い、観光業界がペットフレンドリーなサービスを拡充する動きが活発化しています。スペインの人口の半数以上がペットを飼っており、旅行先の選択においてペットの同伴が重要な要素となっています。この傾向は、宿泊施設やアクティビティの提供方法に変化をもたらし、新たな旅行スタイルを創出しています。
アウトドア宿泊施設は、ペット連れの旅行者にとって特に魅力的な選択肢となっています。アウトドアステイ予約プラットフォームPitchup.comによると、2023年にはキャンピングカーのレビューで「犬」という言葉の言及が前年比で83%増加しました。これは、「ペットフレンドリー」というタグが旅行先選びの決め手となっていることを示しています。Pitchup.comに掲載されているスペインのキャンプ場の93%以上がペットの受け入れを表明しており、そのうち約10%の施設では、特別なドッグパークや散歩エリアといったペット専用の設備を設けています。同プラットフォームでは、一度に複数の犬を連れて旅行する旅行者のために、犬の同伴数を指定できる新しい検索フィルターも導入しました。
Pitchup.comの創設者であるダン・イェーツ氏は、「ペットとの旅行は、もはや特別なサービスではなく、多くのお客様にとって基本的な要件となっています。この要素が目的地選びに大きく影響し、宿泊施設を差別化する要因となっています」と述べています。あるキャンパーは、「素晴らしい自然環境の中、犬と一緒にキャンプを楽しめるウォーキングやサイクリングルートがあり、絶対にまた訪れたい」と感想を述べており、ペットとの旅行体験が顧客満足度を高めていることが伺えます。
このペットフレンドリーな旅行の需要増加は、スペイン国内だけでなく世界的な傾向です。例えば、アメリカでは年間約200万匹のペットが商業フライトを利用しており、これはペット人口の約6%に相当します。また、イギリスでは犬の飼い主の85%が、ペットを置いて海外旅行に行くよりも国内旅行を選択しており、宿泊施設の選択肢においても52%がペット同伴可能な施設のみを検討すると回答しています。旅行の頻度も増加しており、37%の飼い主が年に3〜5回、31%が年に6回以上のペット同伴旅行を計画しています。このことから、ペットとの旅行は単なるトレンドを超え、人々の生活様式に深く根ざした変化であることがわかります。スペインの観光業界は、この変化に対応し、ペットと共に質の高い体験を求める旅行者層を取り込むことで、さらなる成長を目指しています。