イタリアの航空業界に新たな時代が到来しました。ITAエアウェイズは2025年9月23日、ミラノからローマへの特別便を運航し、大型犬が客室内に同伴できる新時代の幕開けを告げました。この歴史的なフライトには、11歳のラブラドール犬「モカ」と15キログラムの雑種犬「ハニー」が、それぞれの飼い主と共に搭乗しました。これは、体重10キログラムを超える犬が、これまで必須であったクレートなしで客室内を移動できるようになった初めての事例です。
モカとハニーは、飼い主の座席下のマットの上に快適に過ごし、リードで安全が確保されていました。この取り組みは、2025年6月に国内線におけるペット同伴の体重制限を10キログラムまで引き上げるという方針変更に続くものです。イタリアの運輸・インフラ大臣であるマッテオ・サルヴィーニ氏もこのフライトに同乗し、乗客に迷惑がかからず、犬たちが安らかに眠っていたことを高く評価しました。この変更により、これまで貨物室での輸送に不安を感じていたペットの飼い主にとって、より快適な旅行の選択肢が提供されることになります。
この新しい規定は、イタリア民間航空局(ENAC)の承認を得て、数ヶ月前に運輸省によって緩和された規則に基づいています。これまで大型犬は貨物室で輸送する必要があり、各航空会社が独自のペット輸送ルールを設けていました。多くの格安航空会社では、介助犬を除き、全ての動物の客室への同伴を禁止していました。今回のITAエアウェイズによるデモンストレーションフライトは、規定を守ることで犬が客室内を安全に移動できることを証明する目的で行われました。OIPAイタリア(国際動物保護団体)も、動物の福祉を保護する具体的な行動としてこの動きを支持しています。
サルヴィーニ大臣は、このペット同伴の緩和が「数百万人の乗客にとってのゲームチェンジャー」であると述べ、ペットに関する問題には経済的および社会的な側面があり、感情的な絆や実用的なニーズも含まれると強調しました。また、政府は動物の遺棄に対する罰金を増額し、議会と同様に省庁職員が犬をオフィスに連れてくることを許可する計画も発表しています。イタリアでは鉄道でも犬との旅行が容易になっており、今回の航空業界の動きは、ペットフレンドリーな社会へのさらなる一歩と言えるでしょう。今後、ITAエアウェイズは、大型犬や中型犬の客室同伴チケット購入のための運用条件を段階的に定義し、すべての人々、そして動物たちにとってより良い旅行体験を提供することを目指しています。