2025年9月18日、国連安全保障理事会は、ガザ地区での即時かつ無条件の恒久的な停戦を求める決議案を、アメリカの拒否権行使により否決しました。この決議案は、理事国10カ国が共同提出し、15カ国中14カ国が賛成しましたが、アメリカのみが反対しました。これは、イスラエルとハマスの衝突開始以来、米国が国連安保理で停戦決議案を拒否した6度目の事例となります。
決議案は、ハマスおよびその他の武装勢力が拘束している人質の即時かつ無条件の解放、ならびにガザ地区への人道支援物資搬入に対する全ての制限の解除も求めていました。しかし、米国副特使モーガン・オルタガス氏は、決議案がハマスを明確に非難しておらず、イスラエルの自衛権を十分に認識していない点を指摘し、「ハマスに有利な誤った物語を正当化している」と述べました。同氏はまた、国連が発表したガザにおける飢饉宣言の算出方法にも疑問を呈しました。
ガザ地区の人道状況は極めて深刻です。紛争開始以来、6万5千人を超えるパレスチナ人が犠牲になったと報告されており、その大半は民間人です。デンマークの国連大使クリスティーナ・マルクス・ラッセン氏は、ガザにおける飢饉が「確認された現実」であり、現状が続けば飢餓はさらに悪化するとの見解を示しました。5歳未満の子どもたち32万人以上が急性栄養不良の危険にさらされており、人道支援物資の不足が事態を一層困難にしています。
この紛争は、2023年10月7日のハマスによるイスラエル南部への奇襲攻撃が引き金となりました。この攻撃でイスラエル側では1,200人以上が死亡し、251人が人質としてガザに連行されました。イスラエルの国連大使ダニー・ダノン氏は、米国の拒否権行使を「道義的な明確さとリーダーシップ」を示すものとして高く評価し、人質の無条件解放を停戦の条件としていない決議案は「テロへの降伏」に他ならないと強く批判しました。
米国側は、イスラエルが戦争終結に向けた条件を受け入れたものの、ハマスがそれらを拒否し続けていると主張しています。このような外交的な局面の中、ガザの人々が直面する苦難は増すばかりであり、国際社会は人道支援の緊急性と各国の政治的立場との間で複雑な課題に直面しています。