PET廃棄物を次世代蓄電デバイスへ:研究チームがスーパーキャパシタ新技術を確立

編集者: Татьяна Гуринович

環境中に急速に蓄積し、地球の景観を脅かすポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分とするプラスチック廃棄物に対し、研究者たちが新たな解決策を提示しました。この革新的なアプローチは、単なる廃棄物削減に留まらず、未来のエネルギー貯蔵技術への道を開くものです。

リード著者であるユン=ファン・フ(Yun-Hwan Huh)氏らが率いる研究チームは、この身近な廃棄物を高性能なスーパーキャパシタの電極材料へと転換する二段階のプロセスを確立しました。この技術の核心は、PET廃棄物を約700度Cの真空下で水酸化カルシウムと共に加熱する初期工程にあります。この熱処理により、プラスチックは灰のような多孔質材料へと変貌します。

この多孔質材料を導電性ポリマーや複合材料と組み合わせることで、スーパーキャパシタ用の薄い電極シートが生成されます。スーパーキャパシタ、すなわちウルトラキャパシタは、従来のバッテリーと比較して急速な充放電能力に優れており、エネルギー貯蔵分野で注目されています。このPET由来の電極は、従来の分離材やスロット付きの熱電極と比較して、質量ベースで79%の材料節約を達成しており、これは従来の分離材の78%と比較しても顕著な差です。

ユン=ファン・フ氏は、この技術が交通システム、電子機器、一般消費財、さらには専門的な産業分野において、スーパーキャパシタの実用化に大きな可能性を秘めていると述べています。また、この技術がプラスチック廃棄物の深刻な環境問題の解決に貢献し得るという確信も示されています。この研究の背景には、従来の分離材や電極形成用複合材料が高価であるという問題意識がありました。

日本国内では、2022年に廃プラスチック総排出量が823万トンに上り、そのうちPET樹脂が約30%を占めており、その処理は喫緊の課題となっています。研究者たちは、この技術のさらなる最適化により、今後5年から10年で研究室の試作品から市場投入可能な製品へと移行できると見ています。これは、エネルギー貯蔵材料への需要が高まる現代において、廃棄物資源化の新たな地平を切り開くものです。

ソース元

  • ФОКУС

  • Вчені створили суперконденсатор із відходів

エラーや不正確な情報を見つけましたか?

できるだけ早くコメントを考慮します。