ベトナムの企業が、これまで廃棄されていた農業副産物を環境に優しい高付加価値製品へと転換し、国際市場で成功を収めています。この革新的な取り組みは、持続可能な開発への世界的な関心の高まりと、ベトナムの豊かな天然資源を活用する新たな機会を浮き彫りにしています。
ホーチミン市で開催されたワークショップでは、スゲ、コーヒーかす、ヘチマ繊維といった農業副産物が、どのようにして国際的に人気のあるエコフレンドリーな製品へと生まれ変わるかが紹介されました。この動きは、単なる廃棄物削減にとどまらず、ベトナムの経済成長と国際競争力強化に大きく貢献しています。
特に注目を集めているのは、ヘチマ製品を製造する「Loofah Village」です。同社はヘチマから20以上の製品ラインを開発し、日本への輸出を10年以上続けてきました。現在では韓国、ヨーロッパ、ドイツへの展開も進めており、オンライン販売やライブコマースを通じて日々多くの注文を受けています。同社の創業者であるDo Dang Khoa氏は、「かつて農家が燃やしていた廃棄物が、今では輸出可能な素材となっています。ヘチマ製品は耐久性があり環境に優しいことから、新たな市場への拡大を可能にしています」と語ります。
ベトナムハウスウェアカンパニーのゼネラルディレクターであるLai Tri Moc氏は、スゲが環境に優しく、国際的な化学物質安全基準を満たしている点を強調しました。スゲ製品はヨーロッパ、米国、オーストラリアといった高基準市場への輸出に適しており、その栽培の容易さ、安定した供給、そしてメコンデルタ地域の人々が低コストで持続可能な生計を立てられる機会を提供しています。
FaslinkのマネージングディレクターであるTran Hoang Phu Xuan氏は、ファッション業界における新素材の重要性を指摘し、軽量で多機能な衣類が現在のトレンドであると述べました。また、ヨーロッパのような先進市場では、製品が環境や社会に与えるポジティブな影響を示すことが不可欠であり、それができなければ、ベトナムの輸出業者は発展途上の市場に限定されてしまうと警鐘を鳴らしています。
ベトナム高品質商品事業協会の会長であるVu Kim Hanh氏は、「天然素材や伝統製品への関心が高まっていることは、強力な消費者運動です。ベトナムには貴重な天然資源があり、適切な研究、革新、商業化を通じて、『世界の棚に並ぶグリーンゴールド』となり得ます」と述べ、このトレンドがベトナムにとって大きなチャンスであることを示唆しました。
ベトナム政府は、2030年までに米、コーヒー、畜産などの主要生産部門における農業副産物のリサイクル・再利用率を70％に引き上げることを目指しており、この分野への支援を強化しています。例えば、バクザン省では稲わらを焼却する代わりに微生物発酵堆肥に切り替えることで、土壌の健全性を高め、化学肥料の使用量を削減する取り組みが進んでいます。これは、ベトナムが持続可能な農業と循環型経済への移行を加速させていることを示しています。