マクロン大統領、ルコルニュ氏を新首相に任命、緊縮財政と農業危機が課題に

編集者: Татьяна Гуринович

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は2025年9月9日、セバスチャン・ルコルニュ氏を新たな首相に任命しました。ルコルニュ氏は、国民議会での不信任投票で敗北し辞任したフランソワ・バイロー氏の後任となります。39歳のルコルニュ氏はマクロン大統領の側近であり、2017年以降、様々な大臣職を歴任してきました。今回の首相交代は、マクロン政権下でわずか2年足らずで5人目の首相就任となり、政権運営の目まぐるしい変化と政治的安定への課題を浮き彫りにしています。

ルコルニュ新首相が直面する最優先課題の一つは、2026年度予算案の策定です。前政権が提案した440億ユーロ規模の緊縮財政案は、議会各党との協議を経て見直しが必要となります。この予算案は、フランスの巨額の国家債務(GDP比114%)を抑制するための重要な一歩ですが、その実現には国民の理解と合意形成が不可欠です。財政赤字は2024年にGDP比5.8%に達し、EU目標の3%を大きく超過しています。

国内では農業危機も深刻化しており、特に「デュプロン法」を巡る議論が続いています。この法律は、農家への規制緩和を目指す一方で、ミツバチに有害とされるネオニコチノイド系農薬アセタミプリドの再導入が含まれており、200万人を超える署名を集めた請願書が提出されるなど、国民の懸念が高まっています。この法案の今後の扱いについては、国民議会での審議が待たれます。

エネルギー政策においては、2050年までのカーボンニュートラル達成を目指し、化石燃料への依存を減らすための多年度エネルギー計画が進められています。これには原子力発電の活用や再生可能エネルギーの開発が含まれますが、国民生活への影響、特に電気料金の上昇に対する懸念も表明されています。

現在の政治情勢は緊張しており、全国各地で抗議デモが発生しています。「すべてを阻止せよ」と掲げられたこれらのデモは、社会の深い分断と変化への強い希求を示しており、8万人の警察官が動員される事態となっています。このような状況下で、ルコルニュ首相は、分断された議会との間で合意を形成し、国の安定を築くという重責を担うことになります。

ルコルニュ氏は法学修士号を持ち、国家憲兵隊の予備役大佐でもあるという経歴を持ちます。彼は、2017年のマクロン大統領就任以来、海外領土大臣、そして国防大臣として、特にウクライナ情勢に対応するなど、重要な役割を担ってきました。国民の期待に応え、これらの複雑な課題を乗り越えるためには、国民との対話を深め、より調和のとれた未来への道筋を示すことが求められています。

ソース元

  • BFMTV

  • France's Macron names loyalist Lecornu as new prime minister

  • Sommet IA : « La France prend les devants » affirme Sébastien Lecornu

  • Sébastien Lecornu - Composition officielle du Gouvernement

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