ガーナでは、特に地方部において質の高い教育へのアクセスが依然として大きな課題となっています。多くの学校が教科書や机といった基本的な教材の不足に直面しており、一部の生徒はインフラの不備から屋外での学習を余儀なくされています。訓練された教員の不足や、生徒たちの長距離通学は、彼らの安全と健康に影響を与え、教育機会の格差をさらに深刻化させています。
こうした状況を受け、ガーナ政府は2025年度予算において教育分野への予算配分を大幅に増加させました。この予算では、二次教育の無償化を完全に財政支援し、障害を持つ人々に対する高等教育も無償化する方針が示されています。具体的には、初年度の大学新入生に対する「学費無料政策」に4億9980万ガーナセディ（GH₵）、初等・中等学校の女子生徒への生理用品無料配布には2億9240万ガーナセディがそれぞれ割り当てられています。
しかし、アフリカ教育ウォッチャー（Africa Education Watch）のような専門機関からは、この増額にもかかわらず、国際的な基準には依然として届いていないとの指摘があります。2025年の教育予算はGDP比で3.01%に落ち込むと予測されており、これは過去8年間で最低水準です。また、2019年には国民予算の20.76%を占めていた教育予算の割合も、2025年には15.56%にとどまる見込みで、国際的な推奨基準である20%には及びません。さらに、2025年の国家予算における債務返済額は642億ガーナセディに達する一方、教育予算は421億ガーナセディにとどまっており、財政的な優先順位に対する懸念も示されています。
過去のデータによれば、政府の教育資金提供、特に「プログレッシブ・フリー政策」のような取り組みは、生徒の学業成績や就学率に肯定的な影響を与え、特に女子生徒の就学機会拡大に貢献してきました。また、非政府組織（NGO）や慈善家による学校建設、教員研修、教材提供といった支援活動も、恵まれない地域の子供たちに希望を与えています。
今回の予算増額は、ガーナの教育システムが直面する課題への政府の強い意志を示すものですが、都市部と地方部の教育格差を埋め、すべての子どもたちに質の高い教育機会を保障するためには、継続的な努力とさらなる投資が不可欠です。政府、NGO、民間セクターの連携が、ガーナの教育の未来をより明るいものにする鍵となるでしょう。