米国とパナマは8月28日、国連安全保障理事会に対し、ハイチの強力な武装ギャングに対抗するための専門的な「ギャング鎮圧部隊」の設置と国連支援事務所の創設を目的とした決議案を提出しました。この提案は、現在ハイチで活動している国連支援ミッションが資源と人員の不足に直面している現状を踏まえたものです。
米国国連大使代理のドロシー・シア氏は、新たな部隊には「領土を確保し、インフラを保護し、ハイチ国家警察を補完する能力」が必要であると強調しました。また、現地でのロジスティクス支援を提供する国連支援事務所の設立も提案されています。
国連のグテーレス事務総長は、武器禁輸措置の強化と、ハイチのギャングが使用する武器の多くがフロリダから密輸されているという指摘を踏まえ、より強力な物質的支援を求めています。
ハイチの人道危機は深刻化しており、ギャングの暴力激化により130万人以上が避難を余儀なくされています。特に懸念されるのは、2025年の最初の3ヶ月間における子供たちのギャングへの勧誘が、前年同期比で700%増加したという報告です。子供たちは戦闘員として、あるいは労働力として搾取されるケースが多く、現在ギャング構成員の約50%を占めると推定されています。
これに対し、ハイチ政府は2025年8月に西、アルティボニット、中央の各県で3ヶ月間の非常事態を宣言し、治安の回復とギャング活動によって悪化した農業・食料危機への対応を目指しています。
今回提案されている国連ミッションは、ハイチ国家警察およびその他の国際パートナーを支援し、安定と安全の回復を図ることを目的としています。安全保障理事会は今後数週間以内にこの決議案について審議する見込みです。この新たな取り組みは、ハイチの治安回復に向けた国際社会の決意を示すものですが、その実効性は、現地での着実な実行と、ギャングへの武器供給ルートの遮断にかかっています。