ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は8月8日、ガザ地区での使用が想定される全ての軍事装備のイスラエルへの輸出を停止すると発表しました。この決定は、イスラエルがガザ市を掌握する計画を承認したことを受けたもので、ハマスとの22ヶ月に及ぶ紛争の激化が背景にあります。
メルツ首相は、イスラエルの自衛権は認識しつつも、最近の軍事行動が人質解放や停戦に向けた進展を困難にしていると指摘しました。また、ガザの人道状況への深い懸念を表明し、国連機関やNGOを含む人道支援のための包括的なアクセスを求めました。国連人権高等弁務官のフォルカー・ターク氏も、イスラエルによるガザの軍事掌握計画の即時停止を要請しており、この計画が国際司法裁判所の判決に反し、二国家解決を妨げ、パレスチナ人の自決権を侵害すると警告しています。
この輸出停止は、ドイツの長年のイスラエル支援における政策の転換点となります。輸出停止は、イスラエルのネタニヤフ首相の連立政権内の極右勢力がガザの全面掌握を推進している状況を受けて行われました。国際社会もイスラエルの計画に懸念を表明しており、英国、スペイン、トルコ、オーストラリアの指導者たちはイスラエルの拡大計画を非難しています。ドイツは2023年10月7日から2025年5月13日までの間に、イスラエルに対し合計4億8,510万ユーロ（約5億6,400万ドル）相当の軍事装備の輸出ライセンスを発行していました。