イスラエル安全保障内閣は8月7日、ネタニヤフ首相が提案したガザ市占領計画を承認しました。この計画は、イスラエル国防軍（IDF）によるガザ市全域の完全な支配を目指すもので、戦闘地域外の民間人への人道支援提供を目的としています。しかし、この決定は国際社会から強い懸念と非難を招いています。
計画は、ハマスの武装解除、イスラエル人質全員の解放、ガザ地区の非武装化、イスラエルによるガザ地区の安全保障管理、そしてハマスでもパレスチナ自治政府でもない代替の文民政権の樹立という5つの基本原則に基づいています。ネタニヤフ首相は、この計画がハマスを壊滅させるための唯一の道であると主張しています。しかし、IDF参謀総長アイェレット・ザミール将軍は、この計画には人質解放のリスクや必要な軍事資源に関する懸念から反対を表明していました。多くの閣僚も、この計画がハマスの敗北や人質の解放を達成できないと考えていました。
国連人権高等弁務官のフォルカー・トゥルク氏は、イスラエルに対し直ちに計画を停止するよう強く求めました。同氏は、この計画が国際司法裁判所のイスラエルによる占領終結命令に反し、パレスチナ人の自決権を侵害するものであると強調しました。また、このさらなる軍事拡大は、より大規模な強制移住、より多くの死者、耐え難い苦しみ、無意味な破壊、そして残虐行為をもたらすと警告しています。
英国、スペイン、トルコ、オーストラリアなどの各国の指導者も、イスラエルの計画を非難し、紛争のエスカレーションとその人道的影響に対する懸念を表明しました。オーストラリアのペニー・ウォン外相は、停戦、人質の解放、人道支援の円滑な流入を求めており、二国家解決こそが永続的な平和への唯一の道であると述べています。トルコ外務省は、このエスカレーションがイスラエルの「拡大主義」政策の新たな段階を示していると指摘し、国際社会にパレスチナ人の強制移住を阻止する責任を果たすよう呼びかけました。
ガザ地区の状況は依然として深刻であり、住民は紛争の継続と人道支援へのアクセス困難により、ますます困難な生活状況に直面しています。ガザ市では、食料消費が紛争開始以来最低水準に達し、多くの世帯が深刻な飢餓を経験しており、特にガザ市では急性栄養失調の基準値を超えています。この計画は、すでに壊滅的な人道状況をさらに悪化させる可能性が指摘されています。
この計画は、イスラエルが2005年にガザから市民と兵士を撤退させた決定を覆すものであり、ハマスがその後の選挙で権力を握った原因となったと一部では見られています。イスラエルは、この作戦が少なくとも6ヶ月かかると見込んでおり、占領の終結には長期的なプロジェクトが必要となる可能性があります。この状況は、出口戦略のない長期的な戦争への泥沼化のリスクをイスラエルに与えています。