2025年7月1日、英国議会はキア・スターマー首相の福祉改革法案を可決しました。下院では、福祉支出削減を目指すこの法案に対し、賛成335票、反対260票という結果でした。
しかし、この勝利は、労働党内からの大きな異論によって影が薄れました。49名の議員が改革に反対し、スターマー首相の在任期間中、最大の党内異論となりました。今回の改革案は、障害者手当の受給資格を厳格化するものです。
反対意見を受け、政府は譲歩し、新たな要件を将来の申請者のみに適用し、実施を延期することなどを決定しました。これらの調整にもかかわらず、削減が見込まれる予算は縮小されました。今回の党内異論は、スターマー首相のリーダーシップと、政府がその政策を確実に実行できるのかという疑問を投げかけています。
今回の法案可決は、英国社会における福祉のあり方について、様々な議論を呼ぶ可能性があります。日本においても、高齢化が進み、社会保障制度の見直しが喫緊の課題となっている現状を鑑みると、英国の事例は、今後の日本の政策決定においても示唆に富むものとなるでしょう。特に、障害者支援のあり方については、両国間で異なる文化的な背景や価値観が存在するため、慎重な議論が求められます。