レバノン政府は、ヒズボラの武装解除を促すための計画を8月31日までに提示する準備を進めています。この取り組みは、米国が仲介する和平合意の一環であり、非軍事的な手段を用いることが想定されています。イスラエルは、ヒズボラの武器に対するレバノン軍の行動に応じて、南部レバノンにおける軍事プレゼンスを縮小する用意があることを示唆していますが、ヒズボラ側はこの計画を拒否しています。
米国特使のトーマス・バーラック氏によると、レバノンが準備している計画には軍事的な強制は含まれず、ヒズボラに武器を手放すよう説得する努力に焦点を当てるとしています。レバノン政府は、武装解除の目標を承認しており、サウジアラビアとカタールは、武装解除された元ヒズボラ戦闘員や支持者への雇用機会を提供する新たな経済特区への投資を申し出ています。これは、イランからの資金提供を受けている約4万人の戦闘員に対する経済的支援を考慮した包括的なアプローチを示唆しています。
しかし、ヒズボラの指導者であるナイーム・カセム氏は、この計画を拒否し、レバノン政府がイスラエルの利益に奉仕していると非難し、内乱の可能性を警告しています。同氏は、ヒズボラは武器を手放すつもりはないと明言しており、イスラエルが停戦合意を遵守し、レバノン領土から撤退するまで、いかなる議論にも応じない姿勢を示しています。イスラエル側は、レバノン軍がヒズボラの武装解除に向けた必要な措置を講じれば、段階的な軍事プレゼンスの縮小を含む相互措置を講じると述べています。
この状況は、地域情勢の安定と安全保障にとって重要な意味合いを持ちます。レバノンの軍事力と政治的影響力を持つヒズボラの武装解除は、長年にわたるイスラエルとの緊張関係を緩和し、レバノン国内の国家権威の確立に向けた重要な一歩となる可能性があります。しかし、ヒズボラの強い反対と内乱の可能性への懸念は、この複雑な外交努力が直面する課題を浮き彫りにしています。今後の展開は、関係各国の外交手腕と、レバノン国内の政治的安定にかかっています。