国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、イスラエルがガザ市制圧作戦の開始を発表したことを受け、ガザでの即時停戦を強く求めました。日本で開催中の第9回アフリカ開発会議（TICAD）に出席したグテーレス事務総長は、「ガザでの停戦が直ちに達成されることが極めて重要だ」と述べ、イスラエルによるガザ市への軍事作戦が避けられない民間人の死傷者と破壊をもたらすだろうと警告しました。
イスラエルは、ハマスの最後の拠点の一つとされるガザ市を制圧するため、「ギデオンの戦車II作戦」と名付けられた軍事作戦の初期段階に入ったと発表しました。この作戦には、イスラエル国防軍（IDF）の5個師団が関与し、ピーク時には12個旅団戦闘チームがガザ市内で活動すると見られています。イスラエルは、この作戦のために約6万人の予備役を新たに招集しており、9月2日にピーク配備を迎える見込みです。この動員は2025年10月から11月まで続き、さらに2026年初頭まで延長される可能性も示唆されています。
グテーレス事務総長は、ハマスが拘束している人質の無条件解放も要求しました。さらに、イスラエルがヨルダン川西岸地区での入植地建設拡大を承認した決定を撤回するよう促しました。国連人道問題調整事務所（OCHA）は、この入植地計画が「壊滅的な人道的影響」をもたらし、ヨルダン川西岸地区北部と南部を分断し、パレスチナ人の移動を著しく制限すると警告しています。この計画により、18のパレスチナのベドウィン共同体が移転のリスクに直面すると指摘されています。
この紛争は2023年10月7日にハマスによるイスラエルへの攻撃から始まりました。ガザ保健省によると、これまでに6万人以上のパレスチナ人が死亡し、15万人以上が負傷したと報告されています。イスラエルは、ハマスの壊滅を目標に軍事作戦を継続しており、数万人の予備役を動員してガザ市への攻勢を強めています。
ハマスは、イスラエルのガザ市制圧作戦の発表に対し、停戦と人質解放に向けた仲介努力を「公然と無視するものだ」と非難しました。ハマスは、仲介者からの提案を受け入れたと主張しつつ、イスラエルが外交よりも暴力の拡大を選んでいると批判しています。この状況は、地域における緊張を高め、人道的な危機を一層深刻化させる懸念があります。グテーレス事務総長の停戦要求は、国際社会がこの紛争の平和的解決と人道状況の改善を強く求めていることを示しています。