米国が8月29日に800ドル未満の輸入品に対する関税免除措置(デ・ミニミス免除)を終了することに伴い、複数の欧州郵便サービスが米国への荷物発送を一時停止しています。これは、新しい税関手続きや関税徴収方法に関する不透明さから、多くの郵便事業者が対応に追われているためです。
ドイツポストやDHLパラセル・ドイツ、スウェーデン・デンマークのPostNord、オーストリア・ポスト、イタリア・ポストなどが、米国宛ての小包や郵便物の受付・輸送を停止しました。これらの事業者は、新しい米国の税関手続きに関する情報が不足しており、特に、関税の徴収方法、必要なデータ、米国税関・国境保護局(CBP)との連携方法などが明確にされていないことを理由に挙げています。PostEurop(欧州郵便サービス協会)も、これらの新しい手続きの不明瞭さを指摘し、国際郵便の円滑な運営への影響を懸念しています。
DHLエクスプレスなどの一部のサービスは引き続き利用可能ですが、多くの事業者は、新しい規則への対応に必要なITシステムの開発や手続きの整備に十分な時間がなかったと述べています。例えば、PostNordは8月15日に詳細な要件が共有されたものの、適応期間が非常に短かったと説明しています。これらの事業者は、米国当局からの明確な指示がない限り、または準拠した解決策が見つかるまで、一時的な措置として発送を停止せざるを得ない状況です。
このデ・ミニミス免除の終了は、特に低価格帯の商品を扱うeコマース事業者や、これまでこの免除措置に依存してきたビジネスモデルに大きな影響を与えると予想されています。多くの企業は、サプライチェーンの見直しや価格戦略の再構築を迫られる可能性があります。米国政府は、この措置により、不正な輸送慣行や関税回避に対処し、公正な競争環境を促進することを目指していると説明しています。しかし、郵便事業者や消費者の間では、この急な変更と不十分な情報提供に対する混乱と懸念が広がっています。各国郵便事業者は、解決策を見出すために米国当局や国際郵便連合(UPU)と協力して作業を進めており、サービス再開に向けて努力しています。