イスラエル政府は2025年9月21日、英国、カナダ、オーストラリアによるパレスチナ国家の一方的承認に対し、強い拒否反応を示しました。イスラエル外務省は、この動きが地域を不安定化させ、ハマスの暴力、特に2023年10月7日の攻撃を「報酬」するものだと非難しました。ネタニヤフ首相は、パレスチナ国家樹立に反対する姿勢を改めて表明し、対応を約束しました。
イスラエル外務省は声明で、「英国およびその他のいくつかの国によるパレスチナ国家承認の一方的宣言を、イスラエルは断固として拒否する。この宣言は平和を促進するものではなく、むしろ地域をさらに不安定化させ、将来の平和的解決の可能性を損なう」と述べました。同省は、パレスチナ自治政府がテロ対策に必要な措置を講じていないと批判し、このような一方的な行動は交渉の論理に反し、平和を遠ざけると主張しました。ネタニヤフ首相はビデオメッセージで、「ヨルダン川西岸にパレスチナ国家は樹立されない」と述べ、その樹立を阻止するために長年尽力してきたと強調しました。さらに、ユダヤ人入植地の拡大を倍増させ、今後もこの方針を続ける意向を示しました。
この動きは、国連総会を前にしたもので、フランスや他の欧州諸国もパレスチナ国家を承認する意向を示唆しています。国連総会では、2025年9月12日に採択された「ニューヨーク宣言」に基づき、二国家解決に向けたロードマップが議論されています。この宣言は、ガザ地区での即時停戦、全ての拉致被害者の解放、そして完全に主権を持つパレスチナ国家の樹立を求めていますが、イスラエルと米国はこの決議に反対票を投じました。
イスラエルの閣僚からは、この承認に対する厳しい非難の声が上がっています。ベザレル・スモトリッチ財務相は、「英国やその他の国々がイスラエルの未来を決定する時代は終わった。我々の対応は、ヨルダン渓谷を含むヨルダン川西岸への主権適用である」と述べました。一方、野党指導者のヤイル・ラピド氏は、この承認を「外交的災害であり、悪い動きであり、テロリズムへの報酬だ」と批判しました。
今回の英国、カナダ、オーストラリアによるパレスチナ国家承認は、イスラエル・パレスチナ紛争における深い亀裂と緊張の高まりを浮き彫りにしています。国連総会での二国家解決に関する議論や、各国によるパレスチナ国家承認の可能性は、これらの異なる立場がもたらす地政学的な影響を強調しています。イスラエルの断固たる反対、特にネタニヤフ首相の姿勢は、このような取り組みに対する大きな障害であり、二国間関係の緊張を高める可能性があります。ハマス指導者の発言とされるものも、非難と反論の層を加え、解決への道をさらに複雑にしています。この状況は、地域情勢の安定と平和への道のりにおいて、重要な岐路を示しています。