フランス全土の労働組合は、2026年度予算案に対する政府の財政措置に反対し、9月18日に全国規模の抗議活動とストライキを呼びかけました。この動きは、バイロー首相率いる少数与党政権が9月8日に予定されている信任投票を前に、深刻な政治的危機に直面している中で発表されました。政府は440億ユーロ規模の歳出削減を目指していますが、左派・右派両党からの広範な反対に直面しています。
CFDT(フランス民主労働同盟)のメテリーズ・レオン書記長は、声明で「予算案は『恐怖の館』であり、放棄されなければならない」と述べ、提案されている財政措置の「前例のないほどの過酷さ」を非難しました。CGT(フランス労働総同盟)のソフィー・ビネ書記長も、社会的要求に応えるために抗議が必要だとし、「税金の正義、機能不全に陥っている公共サービスへの資金投入、賃上げ、年金改革の撤廃」を求めています。航空管制官組合も、賃金改善を求めて同日にストライキを呼びかけており、社会全体の不満が広がっている兆候が見られます。
バイロー首相は、財政赤字の削減と公的債務の抑制を目指し、9月8日に国民議会で信任投票を求めることを決定しました。しかし、首相の少数与党政権は議会で過半数を確保しておらず、主要野党は軒並み反対票を投じる意向を示しています。この信任投票で首相が敗北した場合、政府は総辞職を余儀なくされ、新たな政治的混乱を招く可能性があります。フランスの公的債務は国内総生産(GDP)の113%に達し、財政赤字も5.8%とEUの基準を大きく上回っており、政府はEUの財政規律遵守のため、歳出削減を急いでいます。
今回の労働組合による全国規模の動員は、9月10日に予定されている別の反政府キャンペーン「すべてを封鎖せよ」とも連動する可能性があり、2018年の「黄色いベスト」運動のような広範な社会不安につながる懸念も指摘されています。当時の運動は、燃料税引き上げへの抗議から始まり、生活費の高騰や経済的不平等に対する広範な不満へと発展しました。経済界からは、この政治的危機がフランス経済に与える潜在的なリスクについて懸念の声が上がっており、投資家の間でもフランス国債の利回りが上昇するなど、市場の不安定化が見られます。
この状況は、フランスが財政再建と社会的な安定の間で難しい舵取りを迫られていることを示しています。労働組合の強い反対と政府の少数与党という状況は、今後の財政政策の行方だけでなく、フランス社会全体の方向性にも大きな影響を与える可能性があります。国民の間に広がる不満と、政府の財政健全化への強い意志が交錯する中、9月はフランスにとって極めて重要な局面となるでしょう。