ドイツのフリードリヒ・メルツ首相とフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、2025年8月29日にフランスのトゥーロンで第25回独仏閣僚評議会を開催し、ウクライナ情勢について協議した。両首脳は、ロシアの戦争遂行能力を阻害するための二次制裁の強化と、ウクライナへの追加的な防空支援の提供で一致した。
会談では、ロシアの軍事作戦を支援する第三国の企業に対する二次制裁の導入で合意した。これは、ロシアの戦争遂行能力を断ち切ることを目的としている。欧州連合（EU）は、ロシアのエネルギー部門を標的とした二次制裁の準備を進めており、制裁回避を助ける第三国への追加措置も計画されている。これにより、ロシアの石油、ガス、金融セクターへの圧力がさらに高まることが期待される。メルツ首相は、ロシアの石油・ガス購入でロシアの戦争経済を資金供給している国々への措置を歓迎する意向を示した。
また、最近のロシアによるキーウへの大規模なミサイル・ドローン攻撃を受け、両首脳はウクライナへの追加的な防空システムの供与を約束した。この攻撃では、多数の市民が死亡し、民間インフラに甚大な被害が出た。ドイツは、現代的な防空レーダーであるTRML-4Dの供給を財政支援しており、ノルウェーと共にパトリオットシステム2基の供与にも協力している。ウクライナの防空能力強化は喫緊の課題であり、NASAMSやIRIS-T SLMのような防空システムは、ロシアのミサイルやドローン迎撃において高い有効性を示している。
さらに、両首脳は核抑止に関する戦略的対話を開始することでも合意した。これは、欧州における協調的な防衛戦略の必要性を浮き彫りにするものである。マクロン大統領は、ロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領との会談が近づいていることについて楽観的な見方を示しつつも、プーチン大統領が和平交渉へのコミットメントを示さなければ、それは平和への意思の欠如を示すものだと警告した。
欧州の防衛指導者たちは、ウクライナへの支援を強化し、ロシアへの圧力を一層強めることを誓約している。検討されている措置には、凍結されたロシア資産の活用や、より厳格な制裁の実施などが含まれる。ただし、凍結されたロシア資産の没収については、法的・経済的な複雑さが指摘されており、慎重な姿勢も示されている。これらの動きは、ウクライナへの揺るぎない支援と、ロシアの行動に対する責任追及という欧州連合の断固たる決意を強調するものである。