ルーブル美術館強盗事件、容疑者8人目の逮捕で捜査は新たな局面へ

2025年10月25日火曜日、フランス当局は、同年10月19日にパリのルーブル美術館で発生した昼間の強盗事件に関連し、新たに4人の容疑者を拘束したと発表した。これにより、この事件で正式に逮捕または起訴された人物の総数は8人に達した。パリ検察のトップであるローレ・ベックオー検察官は、この一連の逮捕が、依然として行方不明のフランス王室の至宝の回収につながることを期待していると表明した。

この衝撃的な強奪事件は、開館時間中のわずか7分間で実行された。犯人グループは、アポロン・ギャラリーの真下に駐車された移動式リフトを利用して2階の窓から侵入し、電動グラインダーで展示ケースを破壊した。盗まれたのは、ナポレオン1世が皇后マリー・ルイーズに贈ったネックレスや、ナポレオン3世の皇后ウジェニーが所有していた冠を含む8点のロイヤルジュエリーであった。逃走の際にはスクーターが使用され、その過程でウジェニー皇后の冠が路上に落下し、損傷した状態で発見された。この冠は1400個以上のダイヤモンドと56個のエメラルドが施されたものであり、現在修復作業が進行中である。

新たに逮捕された4人の容疑者は、38歳と39歳の男性2名と、31歳と40歳の女性2名で、全員がパリ地方の出身者である。以前に逮捕・起訴された容疑者の中には、窃盗の犯罪歴を持つ者も含まれており、39歳の男性は窃盗と共謀の罪で起訴されている。ベックオー検察官は、この強盗が高度に組織化された犯罪集団によるものではなく、むしろ「軽犯罪者」によって実行された可能性を示唆している。捜査当局は、実行犯の一人がDNA鑑定によって特定されたことを明らかにしており、押収された携帯電話の通信内容分析を通じて、より大規模なネットワークや盗品を扱う闇市場の存在を追及している。

ルーブル美術館の館長であるローレンス・デ・カーズ氏は、この事件を受けて、施設のセキュリティ体制の脆弱性が露呈したと認め、緊急措置として、2026年末までに100台の監視カメラを設置し、敷地内に国家警察の移動前哨基地を設置する計画を発表した。この事件は、1911年の「モナ・リザ」盗難事件以来の主要な美術品窃盗事件であり、世界で最も訪問者の多い美術館の一つであるルーブル美術館の安全管理に対する国民の懸念を増大させた。

盗まれた8点の宝飾品は、経済的価値だけで約8800万ユーロ、日本円で155億円相当と推定されているが、民間保険が適用されていなかったため、回収できなければフランス国は損失を補償されないという重大な問題が浮上している。容疑者の中には、国外逃亡を図ろうとしてシャルル・ド・ゴール空港で拘束された者もおり、捜査の広がりと国際的な側面を示唆している。捜査は現在、残る実行犯の行方と、盗まれた至宝が資金洗浄や組織犯罪の取引材料として利用される可能性に焦点を当てて継続されている。