宇宙軍のX-37B軌道試験機、8回目の秘密任務へ打ち上げ

編集者: Tetiana Martynovska 17

米国東部夏時間2025年8月21日午後11時50分、スペースXは米国宇宙軍のX-37B軌道試験機(OTV-8)を、USSF-36として知られる8回目の任務に成功裏に打ち上げました。打ち上げはフロリダ州のケネディ宇宙センターにあるNASAの第39A発射台から、ファルコン9ブロック5ロケットを使用して行われました。この無人機は、宇宙空間における次世代技術の実証を通じて、米国の宇宙能力の進化を推進する上で重要な役割を担っています。

X-37Bプログラムは1999年にNASAのプロジェクトとして始まり、その後国防総省を経て、2020年には米国宇宙軍の管轄下に移管されました。この再利用可能なロボット宇宙機は、その機密性の高い運用と長期間の軌道滞在能力で知られています。これまでのミッションで合計4,200日以上を宇宙空間で過ごしており、その間に様々な実験や新しい軌道領域の開拓を行ってきました。X-37Bは、単なる実験プラットフォームにとどまらず、宇宙における持続的な活動と技術革新の可能性を広げる象徴となっています。

今回のOTV-8ミッションの主要な目的の一つは、レーザー通信デモンストレーションです。これは、高帯域幅の衛星間レーザー通信技術をテストし、米国の宇宙ベースの通信の効率性とセキュリティを向上させることを目指しています。従来の無線周波数通信と比較して、レーザー通信はより多くのデータを短時間で伝送できるだけでなく、その指向性の高さから高いセキュリティを提供します。NASAのレーザー通信中継デモンストレーション(LCRD)や深宇宙光学通信(DSOC)などの取り組みからもわかるように、この技術は宇宙通信の未来を形作る上で不可欠な要素です。

もう一つの重要な実験は、世界で最も高性能な量子慣性センサーの宇宙空間での実証です。この技術は、原子の回転と加速度を検出することにより、GPSに依存しない高精度な測位、航法、および時刻同期を提供することを目的としています。これにより、GPSが利用できない環境でも正確なナビゲーションが可能となり、宇宙船の運用能力を飛躍的に向上させることが期待されています。ボーイングとAOSenseが2024年に実施した有人航空機でのGPSフリーナビゲーションテストは、この技術が地上で既に実証されつつあることを示しており、宇宙空間での応用への期待を高めています。

打ち上げに使用されたスペースXのファルコン9ブロック5ロケットは、その高い再利用性と信頼性で知られており、今回の打ち上げ後もフロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地の着陸地点2への帰還が予定されています。X-37Bプログラムは、これらの先進技術の実証を通じて、宇宙領域における米国の優位性を維持し、将来の宇宙探査や防衛活動のための基盤を強化しています。このミッションは、宇宙空間における新たな可能性を探求し、人類の活動領域を拡大するための着実な一歩と言えるでしょう。

ソース元

  • Space.com

  • US Space Force prepares X-37B Mission 8 for launch

  • Boeing-Built X-37B Spaceplane Set for Eighth Mission

  • X-37B Orbital Test Vehicle concludes seventh successful mission

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