欧州宇宙機関の「ラムセス」ミッションに日本のH3ロケットが参加、小惑星アポフィスを観測

編集者: Tetiana Martynovska 17

日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、欧州宇宙機関(ESA)が進める小惑星アポフィス探査ミッション「ラムセス」にH3ロケットを提供することで協力する意向を表明しました。この国際協力は、2029年4月13日に地球に最接近する小惑星アポフィスを詳細に観測し、将来の惑星防衛能力の向上に貢献することを目的としています。

ラムセスミッションは、地球の重力によって小惑星アポフィスの軌道や構造が変化する可能性のある貴重な機会を捉え、その組成や内部構造を解明することを目指しています。このミッションは2028年の打ち上げを目指しており、JAXAはH3ロケットによる打ち上げに加え、太陽電池パドルや赤外線撮像装置の提供も検討しています。この協力は、2025年11月に予定されているESA閣僚会議でのミッション承認を待つ形となります。

アポフィスは、直径約375メートルの小惑星で、2029年の地球接近時には約32,000キロメートルの距離を通過します。これは記録上、これほど大きな小惑星が地球に接近する最も近い事例となります。当初、アポフィスは地球への衝突リスクが指摘されていましたが、その後の観測により、今後100年間は衝突の可能性がないことが確認されています。しかし、この接近は、小惑星の物理的特性が地球の潮汐力によってどのように変化するかを研究する絶好の機会を提供します。

ラムセスミッションでは、アポフィスの観測精度を最大化するために、2基の小型衛星(キューブサット)が投入される予定です。1基目のキューブサットは、アポフィスの内部構造を調査するための低周波レーダーを備えたハイブリッド型となります。2基目のキューブサットは、スペインの企業Emxysが開発を担当し、小惑星表面への着陸を試みる予定です。これは、欧州のキューブサットとしては前例のない挑戦であり、小惑星への着陸技術の実証を目指します。

この協力は、宇宙探査分野における国際連携の重要性を示しており、特に惑星防衛という地球全体の安全保障に関わる課題において、各国の専門知識と技術を結集することの意義を強調しています。JAXAのH3ロケットは、日本の宇宙輸送能力の向上を示すものであり、この重要なミッションへの貢献を通じて、国際社会における日本の役割をさらに強化することになるでしょう。このミッションの成功は、将来的な地球近傍天体への対応能力を高める上で、貴重な知見をもたらすと期待されています。

ソース元

  • Universe Space Tech

  • Reuters

  • ESA

  • ESA

  • ESA

  • BBC Sky at Night Magazine

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