太平洋北西部国立研究所（PNNL）に設立されたグリッドストレージローンチパッド（GSL）は、エネルギー貯蔵技術の研究開発において重要な役割を果たしています。2024年8月に開設されたこの最先端施設は、次世代のグリッドエネルギー貯蔵技術の開発と検証を加速させることを目的としています。
2025年5月、PNNLのGSLはバッテリー評議会国際（BCI）より2025年BCIイノベーションアワードを受賞しました。この栄誉は、先進的なバッテリーエネルギー貯蔵システムの開発、検証、展開を加速する同施設の貢献を称えるものです。BCIのエグゼクティブバイスプレジデントであるロジャー・ミクサド氏は、「民間部門と米国国立研究所とのパートナーシップは、既存技術の継続的な改善と次世代エネルギー貯蔵ソリューションの開発を支援するために不可欠です」と述べています。
GSLは、ワシントン州リッチランドにあるPNNLキャンパスに位置する、エネルギー貯蔵研究のための新しい国家的な能力です。この7500万ドルの研究施設は、エネルギー省（DOE）電力局の資金提供を受けており、米国経済を支え、手頃で信頼性の高い電力供給に不可欠なバッテリーおよびエネルギー貯蔵技術の創出に焦点を当てています。GSLのディレクターであるVince Sprenkle氏は、「この賞を受賞できたことを光栄に思います。PNNLは、BCIとの継続的なパートナーシップを通じて、国家のエネルギー貯蔵ニーズに応えていくことを楽しみにしています」とコメントしています。
PNNLの研究者は、スケーラブルな室温量子バッテリーの開発にも取り組んでいます。2025年1月には、多層有機マイクロキャビティ設計により、超広範な充電と貯蔵エネルギーのメタ安定化を示すデモンストレーションを行いました。これは、量子現象を活用した新しい世代のバッテリーの可能性を示唆するものです。
さらに、GSLは長期エネルギー貯蔵ソリューションに焦点を当てたプロジェクトを継続的に拡大しています。PNNLは、レドックスフローバッテリー技術とハイスループットロボティクスへの投資を通じて、効率的なフローバッテリー材料の発見を加速させることを目指しています。PNNLの研究者は、AIとハイスループット実験を組み合わせることで、バッテリー材料の発見プロセスを劇的に加速させており、かつて数週間から数ヶ月かかっていた作業を1日で達成可能にしています。
2025年8月22日現在、GSLは稼働を続けており、最先端のエネルギー貯蔵研究の中心地となっています。その進行中のプロジェクトと協力関係は、持続可能なエネルギーの未来に向けたエネルギー貯蔵技術の進歩における不可欠な役割を反映しています。特に、ハイスループット実験（HTE）装置の導入は、材料発見研究をターボチャージし、ロボットプラットフォームとAIモデルを統合することで、自律的な実験室空間を駆動する効果的なAIシステムの作成に必要なデータを提供しています。