アメリカ出身のラッパー、トラヴィス・スコットが、2025年10月18日、インドで初めてステージに立ちました。これは、彼のワールドツアー『Circus Maximus』の一環として行われた公演です。会場となったのは、デリーにある象徴的なジャワハルラール・ネルー・スタジアム。この歴史的なイベントは、インドのオーディエンスが世界のヒップホップ文化に対して急速に高めている関心を反映する、極めて重要な出来事となりました。
この大規模なショーの運営を担当したのは、地域で最大級のイベント開催実績を持つBookMyShow Live社です。事前の期待は非常に高く、準備も万全に進められましたが、この夜は成功と同時に、ロジスティクス上のいくつかの課題が混在する結果となりました。
まず、カナダ系インド人アーティストのNAVがオープニングアクトを務め、会場の期待感を高めました。その後、スコット本人が登場し、強烈なセットリストで観客を圧倒。セットリストには、「Goosebumps」、「Sicko Mode」、そして「Highest in the Room」といった大ヒット曲が組み込まれていました。視覚効果と派手なパイロテクニクス(火薬演出)が融合し、アリーナ全体が光と音の渦巻くエネルギーの中心地へと変貌しました。
特にファンを熱狂させたのは、楽曲「FE!N」です。観客の強い要望に応え、この曲は何度も繰り返し演奏されました。また、パフォーマンスの途中で、スコットは観客の中から3人のファンをステージに招き入れました。そのうちの一人が「Stormi for President(ストーミを大統領に)」と書かれたプラカードを掲げ、会場全体に笑顔が広がりました。
6万人を収容できるこのスタジアムは、まさに熱狂的なエネルギーの震源地となりました。しかし、ソーシャルメディア上では、一部の空席についての報告や、ショー開始までの待ち時間が長すぎたという不満の声も上がりました。観客は開演までに約4時間も会場で待機しなければならなかったのです。実際のパフォーマンス時間は約90分間でした。こうした細かな問題点にもかかわらず、ファンゾーンでは激しいモッシュピットが形成され、観客がビートに合わせて一体となって躍動しました。
デリーでの2回目のコンサートは、翌日の2025年10月19日に予定されています。このツアーは、2023年にリリースされたアルバム『UTOPIA』をサポートするものであり、インドのオーディエンスが世界のトップスターに対してどのような反応を示すかを測る重要な試金石となりました。オブザーバーたちによると、この結果は、インド市場が、より意識的で、リズミカルで、観客を尊重する、このレベルの新しい大規模なショーを受け入れる準備ができているかどうかを判断する鍵となるかもしれません。