ブルックリンを拠点とするシンセポップトリオ、Nation of Languageが、2025年9月19日に4枚目のアルバム「Dance Called Memory」をリリースしました。このアルバムは、バンドの過去作と比較して、より内省的でダークなサウンドへと進化しており、感情の深みと音響的な発展が高く評価されています。
「Dance Called Memory」は、バンドのプロデューサーであるニック・ミリサーが再び手腕を振るい、エイダン・ノエルのシンセサイザーワークとアレックス・マッケイのベースラインが際立つ、独特の雰囲気を醸し出しています。フロントマンであるイアン・デヴァニーのボーカルは、特に「Silhouette」のような楽曲で、そのスタイルに影響が見られます。アルバム全体を通して、落ち着いたトーンが、聴き手に思索的なリスニング体験を提供します。
リードシングルである「Now That You're Gone」は、個人的な経験からインスピレーションを得て、共感と喪失のテーマを探求しています。この曲は、バンドのサウンドが、より生々しく、人間味あふれるものへと変化していることを示唆しています。過去作「Strange Disciple」(2023年9月リリース)から約2年ぶりのフルアルバムとなる本作は、バンドの音楽的進化を明確に示しています。
「Dance Called Memory」は、Roxy Musicの「Avalon」と比較されることもあり、そのサウンドは、Kraftwerk、New Order、Depeche Modeといったアーティストからの影響も感じさせます。しかし、本作では、それらの影響を消化し、Nation of Language独自のサウンドを確立しています。特に、ギターサウンドの導入や、より生々しいボーカルスタイルは、バンドの新たな一面を垣間見せます。
アルバムのリリースを記念して、バンドは北米ツアーを開始しており、ブルックリンでの複数夜にわたるレジデンシー公演も含まれています。このツアーでは、多様なセットリストが披露される予定です。
批評家からは、「Dance Called Memory」は、その感情的な深みと音響的な成熟度で好意的に受け止められています。例えば、AllMusicは「ダンス可能で、エキセントリックで、同時に完璧」と評し、PopMattersは「バンドの創造性とビジョンにおける明確な進歩」と述べています。また、The Line of Best Fitは、バンドが「ポップの領域に進むための、ほぼ完璧なスケッチ」であるとしながらも、さらなる飛躍への期待も示唆しています。このアルバムは、バンドが自身のルーツを大切にしながらも、常に進化し続ける姿勢を示しており、今後の活動にも期待が高まります。