イアン・フォスター、親密さを追求する新しい音楽空間を創設
ニューファンドランド出身の音楽家、作曲家、プロデューサーであるイアン・フォスターは、MusicNLおよびECMAのノミネート歴を持つ実力者ですが、この度、自身の音楽レーベル「NÄRA Community」の設立を発表しました。
レーベル名の「NÄRA」は、スウェーデン語で「近くに」または「親密な」を意味する言葉に由来しています。この名前は、音楽を通じて深い人間的な繋がりを生み出す空間を創造するという、フォスター氏の核となる思想を反映しています。
フォスター氏は、この新しいプラットフォームについて、「単に音が制作される場所ではなく、音が生きる場所を求めていました。アーティストたちが、音符そのものと同じくらい明確にお互いを感じられるような場所です」と語っています。
NÄRA Communityは、従来のレコードレーベルという枠を超え、クリエイティブなプラットフォームとして構想されています。フォスター氏が提唱する「現代的なシネマティック・ミュージック」というジャンルの発展を目的としており、これは多様な文化的影響を取り込み、それを音の絵画へと昇華させる能力を持つ音楽です。
新譜「Travelogue」：移動のサウンドダイアリー
レーベルの立ち上げと同時に、フォスター氏は新作アルバム「Travelogue」も発表しました。この作品は、彼が最近行ったギリシャへの旅からインスピレーションを得ています。これは単なる楽曲集ではなく、サウンドによる日記であり、その地域の伝統音楽を直接引用することなく、旅路の体験そのものを伝える試みです。
メロディーは、移り変わる風景のように流れ、海、光、足音、呼吸といった要素が、ジャズ、アンビエント、アコースティックが一体となった多層的な音の織物へと変化しています。フォスター氏は、映画、テレビ、ドキュメンタリープロジェクト向けに15年間にわたり作曲活動を行ってきた豊富な経歴を持っています。
最近では、彼の多才な作家としての評価を裏付けるように、2025年カナダ競技大会のオリジナル音楽制作をCBCラジオから依頼されました。
公式プレゼンテーションと象徴的な会場
NÄRA Communityの公式な発足と「Travelogue」のプレミアは、2025年11月9日に、ニューファンドランド州セントジョンズのバンナーマン・ブルワリーで開催されます。この会場は、かつての消防署の建物を修復したものであり、その場所が持つ粘り強さと結束の象徴性が、今回のイベントの精神と共鳴しています。
イベントでは、アルバムの試聴に加え、ライブ演奏、視覚的なインスタレーション、そしてイアン・フォスター氏およびレーベルマネージャーのデイビッド・シアーズ氏（ハリケーン・ミュージック所属）との対話セッションが予定されています。シアーズ氏は、アーティストマネジメントにおける豊富な経験を活かし、プロジェクトの構造的な発展とネットワーク構築を支援しています。
親密さが導く未来の方向性
NÄRA Communityの今後の計画には、マスタークラスの開催、コラボレーション・シングルのリリース、そして地域的なクリエイティブ・レジデンシーの形成が含まれています。このレーベルは、音が対話であり、コラボレーションが芸術の一形態である、集合的な成長の中心地となることを目指しています。
フォスター氏は、音楽の本質について、次のように締めくくっています。「音楽は呼吸のようなものです。それは私たちを近づけます。そして、私たちが共に響き合うとき、世界はより親密になるのです。」