パリ司法裁判所は、フランスの元大統領ニコラ・サルコジ氏に対し、2007年の大統領選挙キャンペーンの違法な資金調達に関する共謀罪で有罪判決を言い渡しました。サルコジ氏には禁錮5年の刑と10万ユーロの罰金が科せられました。この判決は執行猶予付きであり、サルコジ氏は直ちに拘束されることはなく、1ヶ月以内に検察庁から出頭要請があり、収監開始日が通知される予定です。
サルコジ氏の弁護団は無罪を主張しており、欧州人権裁判所への上訴も視野に入れています。この有罪判決により、サルコジ氏はフランスの現代史において汚職で有罪判決を受けた二人目の元大統領となりました。過去には、2021年の汚職および影響力行使の罪(裁判官への贈賄未遂、弁護士との盗聴された会話を通じた情報交換)で有罪判決を受け、1年の禁錮刑を言い渡され、そのうち3ヶ月を電子監視装置を装着して服役しました。また、2012年の大統領選挙資金不正事件でも有罪判決を受けており、1年の禁錮刑(うち6ヶ月は執行猶予付き)を受け、控訴中です。これらの過去の有罪判決により、彼はフランス最高の栄誉であるレジオンドヌール勲章を剥奪されました。
今回のリビアからの選挙資金不正疑惑に関する裁判では、2005年から2007年にかけて、当時のリビアの最高指導者ムアンマル・カダフィ政権から選挙資金を得るための共謀罪で有罪となりました。捜査によると、2005年に当時内務大臣だったサルコジ氏とカダフィ氏の間で「腐敗した合意」が結ばれたとされています。サルコジ氏の選挙対策本部は5000万ユーロを受け取り、外国からの資金調達禁止に違反しました。その見返りとして、フランスの政治家であるサルコジ氏は、カダフィ氏が国際舞台での孤立状態から脱するのを助けることになっていました。裁判所は、サルコジ氏が側近にリビアからの資金調達を模索させたことは認めましたが、実際に資金が選挙に使用されたかについては断定できませんでした。しかし、フランスの法律では、たとえ資金が実際に移転されなくても、共謀自体が処罰の対象となります。この判決は、サルコジ氏が2007年の大統領選挙で勝利した際のキャンペーン資金調達に関連するものです。
サルコジ氏は自身の潔白を強く主張しており、この判決を「不正義であり、スキャンダルだ」と非難しています。裁判所は、控訴中であってもサルコジ氏が刑に服することを命じており、これは驚きと批判を呼んでいます。彼は、「誇り高く」立ち向かうと述べています。この事件は、フランスにおける政治と資金調達の透明性に関する議論を改めて提起するものです。サルコジ氏の元側近であるクロード・ゲアン氏とブリュス・オルテフェーユ氏も、共謀罪で有罪判決を受けています。この判決は、フランスの司法制度における長年の疑惑に終止符を打つものですが、サルコジ氏の政治的影響力は依然として大きいと考えられています。彼の今後の動向と司法手続きの進展が注目されます。