元副大統領カマラ・ハリス氏の最新回顧録「107日間」が、民主党内に大きな波紋を広げています。本書は、ハリス氏の2024年の大統領選挙キャンペーンを率直に分析し、党内の対立や主要人物に対する批判的な見解を明らかにしています。
ハリス氏は、バイデン政権に対する不満を表明し、81歳という高齢での再選出馬というジョー・バイデン大統領の決断を「無謀」と評しています。また、バイデン大統領がMAGA帽を着用したことが、自身のキャンペーンに打撃を与えたと回想しています。回顧録では、ハリス氏と副大統領候補であったミネソタ州知事ティム・ウォルツ氏との間の緊張関係にも触れられており、ウォルツ氏が自身の最優先候補ではなかったことを認めています。この事実は、ハリス氏の大統領選出馬における複雑さを浮き彫りにし、党内の緊張をさらに高めています。
さらに、ハリス氏は、自身の副大統領候補としてピート・ブティジェッジ氏を最有力候補と考えていたものの、アメリカ国民が「女性、黒人女性、ユダヤ系男性と結婚した黒人女性」を受け入れることに多くの負担を求めていると考え、リスクが高すぎると判断したことを明かしています。この決断は、党内の多様性と現実的な政治的配慮との間の複雑なバランスを示唆しています。
本書の発売後、一部の民主党戦略家や党関係者からは、「分裂を招く」「恥ずべき」といった批判の声が上がっています。しかし、ハリス氏は、自身の経験を共有することで、党が進むべき道を示したいと考えているようです。この回顧録は、民主党内のリーダーシップ、戦略、そしてアイデンティティに関する議論を再燃させ、党の将来についての重要な問いを投げかけています。