英国のチャールズ国王は、弟のアンドリュー王子への公的な経済支援を大幅に縮小することを決定しました。これには、王子が契約していた私的な警備チームとの契約更新を見送り、年間約100万ポンド(約1億9800万円)に上る個人手当の支給を停止することが含まれます。この措置は、王室の現代化とイメージ刷新を目指す国王の強い意志を示すものと見られています。
アンドリュー王子は、2019年に児童買春疑惑で有罪判決を受けたジェフリー・エプスタインとの関係が明るみに出て以来、公務から退いています。2022年には公的資金による警察警護も失いました。その後、国王は私的な資金で王子の警備費用を負担していましたが、その額は年間数百万ポンドに達していたと報じられています。今回、国王は王室の財務責任者に対し、これらの支援を11月をもって終了するよう指示しました。王室作家ロバート・ハードマン氏は、著書『チャールズIII:新国王、新宮廷、内幕の物語』の改訂版で、この決定によりアンドリュー王子は「もはや国王にとって財政的な負担ではなくなった」と指摘しています。
この決定は、アンドリュー王子がウィンザー城敷地内のロイヤル・ロッジに居住し続けている状況とも関連しています。この邸宅の維持費は年間約50万ポンド(約7900万円)に上るとされ、王子は王室からの経済的支援がなくなったことで、この住居を離れることを検討せざるを得ない状況に置かれています。一部では、王子がハリー王子とメーガン妃が以前住んでいたフロッグモア・コテージへの移転を検討する可能性も示唆されています。これは、王室の資産をより効率的かつ適切に管理しようとする国王の姿勢を反映していると言えるでしょう。
今回のチャールズ国王の決断は、単なる財政的な見直しにとどまらず、王室が直面する課題に対して、より明確で責任ある姿勢で臨むという意思表示でもあります。過去の出来事から学び、未来に向けて王室のあり方を再構築しようとする国王のリーダーシップは、新たな時代の幕開けを予感させます。この動きは、王室全体がより透明性と説明責任を重視する方向へと進む、重要な一歩となる可能性があります。