国際宇宙ステーションにおける食料保存と水循環システムの高度化
編集者: Olga Samsonova
国際宇宙ステーション(ISS)における食料供給では、微小重力環境下での取り扱いの容易さ、軽量性、そして長期保存の安定性が不可欠である。この要件を満たすため、宇宙食の分野ではフリーズドライ技術が中心的な役割を果たしてきた。この技術は真空昇華を利用して食品から水分を効率的に除去し、栄養価を維持したまま長期保存を可能にするものであり、その起源はアメリカのジェミニ計画時代に遡る。現在、宇宙飛行士はスクランブルエッグやパスタなど多様なメニューを、水を加えて再構成することで摂取している。
食料形態の選択においては、微小重力下での安全性が厳しく考慮される。例えば、パン類はパンくずが機内の精密機器に混入し故障を招くリスクがあるため、その代替としてトルティーヤが優先的に採用されてきた。また、長期滞在による宇宙飛行士の生理学的変化、特に骨量と筋力の低下に対抗するため、栄養摂取は厳密に管理されている。この栄養管理の一環として、近年ではカルシウムを豊富に含むアマランサスプロテインなどの高機能食材が宇宙食メニューに加えられている。
生命維持の根幹をなす水資源の管理は、ISS運用における技術的ハイライトの一つである。ISSに導入された先進的な水再生システム(Water Recovery System: WRS)は、呼吸や発汗、さらには尿といった使用済み水分を回収し、飲料水として再利用する。このシステムにより、現在、約93%という高い効率で水がリサイクルされている。NASAが開発したWRSは、尿処理装置(UPA)と水処理装置(WPA)から構成され、尿を蒸留・浄化し、凝縮水と合わせて飲料水レベルまで処理する。このリサイクル技術は、地上での下水処理と上水処理を統合したような高度なプロセスであり、生成された水の純度は地上の水道水よりも高いと説明されている。
水リサイクル技術の進化は、宇宙探査の経済性と持続可能性に直結する。初期のISSでは、水の多くを地球からプログレス補給船やスペースシャトルで運搬しており、その輸送コストからコップ一杯の水が30万から40万円に達したという試算もある。WRSの導入により地上からの補給依存度は大幅に削減されたが、初期のシステムでは尿からの再生率が70%から80%弱に留まる課題や、カルシウムの沈着によるフィルターの目詰まりといったメンテナンス上の問題も指摘されていた。
将来の月面や火星への長期有人ミッションを見据え、さらなる技術革新が進行中である。NASAは、ブライン(尿処理の副産物)から水分を回収するブライン処理アセンブリ(BPA)を追加導入することで、全体の水分回収率を93~94%から98%へと向上させることに成功した。さらに、JAXAは栗田工業と協力し、次世代型の水リサイクル装置の研究開発を進めており、これは現行装置の半分のサイズで、消費電力を30%削減し、再生率を92%以上に高めることを目指している。これらの技術は、月近傍基地ゲートウェイへの搭載を視野に入れており、地球外での自給自足に向けた基盤構築に不可欠である。
食料の分野においても、単なる保存技術から「現地生産」へとパラダイムシフトが起きている。アルテミス計画が推進される中、100人規模の月面基地では地球からの食料輸送が莫大なコストとなるため、食料の現地栽培が不可欠とされている。千葉大学の後藤英司教授が指摘するように、葉物野菜やハーブ類が主流の植物工場技術を、主食となる穀物や芋類の大量生産へと応用することが今後の大きな課題である。JAXAは民間企業と共同で「Space Food X」プログラムを開始し、宇宙での食料生産技術と市場創出を目指しており、サツマイモのような高カロリーで多用途な作物の栽培研究も進められている。これらの革新は、宇宙飛行士のQOL向上と、深宇宙探査の持続可能性を両立させるための鍵となる。
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ソース元
ElNacional.cat
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