第82回ヴェネツィア国際映画祭が、2025年8月27日から9月6日までイタリア・ヴェネツィアのリド島で開催される。今年のオープニング作品には、パオロ・ソレンティーノ監督の最新作「ラ・グラツィア」が選ばれ、世界初上映される。この作品は、ソレンティーノ監督が2001年に「One Man Up」で同映画祭に初参加して以来、長年にわたる関係をさらに深めるものとなる。監督は過去に「ザ・ヤング・ポープ」シリーズの先行上映や、「神のゆりかご」で2021年に銀獅子賞を受賞している。
今年のコンペティション部門では、ゴールデン・ライオン賞をかけて21本の作品が競い合う。出品作品には、ヨルゴス・ランティモス監督の「Bugonia」やギレルモ・デル・トロ監督の「Frankenstein」、ノア・バームバック監督の「ジェイ・ケリー」、ジョージ・クルーニー監督の新作、そしてジュード・ロウ主演でウラジーミル・プーチンの権力掌握を描いたオリヴィエ・アサイヤス監督の「クレムリンの魔術師」などが含まれる。審査員長は、アカデミー賞受賞監督のアレクサンダー・ペインが務める。
映画祭は、注目の映画上映だけでなく、地政学的な問題、特にガザ地区での紛争に関する議論の場ともなっている。映画祭ディレクターのアルベルト・バルベーラは、ヴェネツィア・ビエンナーレが「政治的声明を発表するのではなく、複雑な時代における議論と対話の場である」と述べている。活動家たちは、このイベントを通じて意識向上を訴えている。
映画祭の中心的な会場であるリド島のホテル・エクセルシオールは、1932年の第1回映画祭から映画界のエリートが集まる重要な場所としての地位を保っている。第82回ヴェネツィア国際映画祭は、映画芸術の祭典であると同時に、現代社会が直面する課題について深く考える機会を提供する、魅力的なイベントとなることが期待されている。