欧州映画アカデミーは、2026年欧州映画賞の最終候補リストを正式に発表しました。特にドキュメンタリー部門と長編アニメーション部門において、ヨーロッパ映画製作の多様な才能を示す作品群が注目を集めています。この発表は、ヨーロッパ映画界の新たな局面を映し出すものであり、才能ある作り手がその真価を発揮するための舞台が整いつつあることを示唆しています。
ドキュメンタリーの領域では、アルバート・セラ監督の『Afternoons of Solitude』やエリザベータ・スミス監督の『Militantropos』といった作品が際立っています。授賞式そのものについては、国際的なアワードスケジュールとの連携を強化し、露出拡大を図るため、日程が変更されました。2026年1月17日にベルリンで開催される予定です。
この日程変更は、アカデミーが長年慣れ親しんだ12月の開催時期からの大きな転換であり、ゴールデングローブ賞やアカデミー賞といった主要な授賞シーズンの中核へと欧州映画賞を位置づける戦略的な一歩です。欧州映画アカデミー会長のマイク・ダウニー氏は、この変更が欧州の候補者に最大限の影響を与え、世界的なアワードゲームにおけるアカデミーの役割を高めると述べています。
さらに、2026年LUXオーディエンス賞の最終候補5作品も公表されました。この賞は欧州議会、欧州映画アカデミー、欧州委員会、およびEuropa Cinemasが共同主催しており、市民の視点が結果に大きく反映されます。特筆すべきは、アクセシビリティへの配慮として、今回初めて候補作全5作品にろう者・難聴者向けの字幕が全24のEU言語で提供される点です。
これらの候補作は、2026年4月にかけてEU全域で無料上映会が予定されており、ヨーロッパ中の観客が鑑賞し、お気に入りの作品に投票する機会が提供されます。昨年の2025年版では、候補作の900回以上の上映会が開催され、9万人以上の観客が議論に参加した実績があります。2026年の受賞者は、2026年4月中旬にブリュッセルの欧州議会議事堂で発表される予定です。