2025年10月15日から26日にかけて、オーディトリアム・パルコ・デッラ・ムジカを会場に開催された第20回ローマ映画祭(Rome Film Festival)は、その記念すべき節目を迎え、主要な賞の授与をもって華々しく幕を閉じました。この映画祭は、新たな映画の才能を発掘し、世界に紹介する国際的なプラットフォームとしての重要性を改めて証明しました。今年の祭典では、合計436作品が上映され、その中には38カ国から集まった198本の映画が含まれていました。期間中の総来場者数は116,503人に上り、その盛況ぶりがうかがえます。
最高賞である「プログレッシブ・シネマ賞」(最優秀作品賞)は、台湾とアメリカの合作ドラマ『レフトハンデッド・ガール(Left-Handed Girl)』に輝きました。この感動作は、シーチン・ツォウ(Shi-Ching Tzou)監督がメガホンを取り、彼女自身が脚本とプロデューサーを兼任しています。ツォウ監督の長年のパートナーであるショーン・ベイカー(Sean Baker)も、共同脚本家、編集者、プロデューサーとして制作に深く携わりました。物語の核となるのは、経済的な困難と絶望感に立ち向かいながら生きる、一人のシングルマザーの姿を描いた、心揺さぶるヒューマンドラマです。
パオラ・コルテッレージ(Paola Cortellesi)が審査委員長を務めた審査団は、他にも卓越した功績を評価し、各賞を授与しました。最優秀監督賞には、ワン・トン(Wang Tong)監督の『Chang ye jiang jin』(英題:Wild Nights, Tamed Beasts)が選出されました。また、最優秀女優賞にあたる「モニカ・ヴィッティ賞」は、『Gli occhi degli altri』での演技が高く評価されたジャスミン・トリンカ(Jasmine Trinca)が受賞しました。最優秀男優賞の「ヴィットリオ・ガスマン賞」は、『Good Boy』で印象的な役柄を演じたアンソン・ブーン(Anson Boon)に贈られました。さらに、今回初めて設けられた最優秀ドキュメンタリー賞は、エゴール・トロヤノフスキー(Egor Troyanovsky)監督の『キューバとアラスカ(Cuba and Alaska)』が獲得し、新たな部門の歴史を刻みました。
この記念すべき映画祭では、映画産業のベテランたちへの敬意も表されました。英国・アイルランド出身の著名なプロデューサーであるロード・デヴィッド・プットナム(Lord David Puttnam)には、「産業における功績賞」が授与されました。キャリア功労賞は、リチャード・リンクレイター(Richard Linklater)とジャファル・パナヒ(Jafar Panahi)の二人が受賞し、ニア・ダコスタ(Nia DaCosta)は「キャリア功績におけるプログレッシブ表彰」を受賞しました。映画祭は、リッカルド・ミラーニ監督のコメディ『Life Goes This Way』で開幕を飾り、閉幕時にはカルロ・ヴェルドーネのシリーズ『Vita da Carlo』の最終エピソードが上映され、盛大なフィナーレを迎えました。
