ファッション業界の有力メディア企業であるコンデナストは、Vogue、The New Yorker、Vanity Fair、GQなどの象徴的な雑誌を発行する同社として、編集コンテンツおよび広告における新品の動物毛皮の使用を全面的に禁止するグローバルポリシーを施行しました。この決定は、同社の長年の価値観とファッション指針に沿ったものであり、歴史ある出版社にとって新たな時代の幕開けを告げるものです。
この方針転換は、毛皮産業に反対する国際的な団体である「毛皮取引廃止連合(CAFT)」からの長期間にわたる働きかけを受けて実現しました。CAFTは9ヶ月にわたるキャンペーンを展開し、Vogueの編集者の自宅前でのデモや雑誌のイベントへのボイコットといった戦術を用いました。この動きは、2010年代から続く、多くの高級ファッションブランドがコレクションでのリアルファーの使用を段階的に廃止するという、業界全体の傾向を反映しています。2021年には、雑誌『ELLE』も国際版すべてで毛皮を禁止し、この動きに加わりました。
歴史を遡ると、毛皮は古代文明から王族やエリート層にのみ許された、地位と富の象徴でした。20世紀は「毛皮ファッションの黄金時代」と呼ばれ、ハリウッドやハイファッションのデザイナーたちが毛皮のコートやアクセサリーを普及させ、その地位とスター性を確立しました。しかし、1960年代に洗練されたフェイクファー(人工毛皮)が登場し、より倫理的で入手しやすい選択肢として注目を集めるようになりました。現代のフェイクファーは、そのリアルさにおいて目覚ましい進歩を遂げており、本物と見分けがつかないほどになっています。
リアルファー製造の環境への影響も無視できません。ミンク毛皮1キログラムの生産におけるカーボンフットプリントは、綿やアクリルよりも大幅に高いと報告されています。また、毛皮の加工にはしばしば有害な化学物質が使用されます。倫理的および環境的な懸念の高まりは、多くのブランドや国が毛皮の使用を禁止する動きを後押ししています。毛皮取引廃止連合によると、依然として数百万羽の動物が毛皮農場で劣悪な環境下で飼育され、残酷な扱いを受けています。
一方で、近年TikTokなどのソーシャルメディアプラットフォームで、「モブワイフ」と呼ばれる、豪華な毛皮のコート、大胆なゴールドのジュエリー、レオパード柄などを特徴とするスタイルが大きな注目を集めています。このトレンドは、毛皮のような贅沢な質感への根強い関心を示唆しています。しかし、コンデナストの今回の決定は、ファッション業界全体に対して、より持続可能で思いやりのある選択肢へと移行するよう促す強力なメッセージとなります。World Animal Protectionによると、より多くの政府、デザイナー、ブランド、消費者が毛皮の使用を拒否しているため、世界の毛皮生産は減少しています。この影響力のあるメディア企業の姿勢は、消費者の認識をさらに形成し、グローバルなファッション業界における倫理的な選択を奨励することが期待されます。