フランスは、SHEINやTemuといったオンラインプラットフォームを標的とした、ファストファッションに対する規制強化を進めています。この動きは、EU法違反を理由とするもので、持続可能なファッション産業への移行を目指す欧州連合(EU)全体の取り組みを先駆けるものです。
フランス当局は、コンプライアンスに違反するプラットフォームを検索結果から除外し、アクセスを制限する権限を国内当局に与えることを目指しています。SHEINは、偽造品の流通、消費者を欺く販売手法などの疑いで非難されており、すでにフランス国内で4,000万ユーロ(約68億円)の罰金を科されています。これは、価格表示や環境配慮に関する誤解を招く広告が原因です。さらに、フランスのデータ保護機関(CNIL)は、GDPR違反として、クッキーの不適切な利用に関してSHEINに1億5,000万ユーロの罰金を科しました。
並行して、フランスは超ファストファッションの環境負荷を軽減するための法案も導入しています。この法案には、製品の環境負荷を評価する「エコスコア」システムの導入が含まれており、スコアの低いブランドには罰金が科される可能性があります。2025年からは商品1点あたり最大5ユーロ、2030年までには最大10ユーロの環境税が導入される見込みです。また、超ファストファッションブランドの広告は禁止され、これらのブランドを宣伝するインフルエンサーにも制裁が科される予定です。
この規制強化は、ファッション業界における大量生産・大量廃棄のビジネスモデルに一石を投じるものです。ジャン=フランソワ・ロンジョ上院議員は、「環境、社会、経済の現実を無視するSHEINやTemuのような企業を標的とし、欧州の既製服セクターを罰することなく、その性質をターゲットにすることが可能になる」と述べています。この動きは、消費者の意識を高め、より責任ある消費行動を促すことで、ファッション業界全体の持続可能性を高めることを目指しています。