プラハの中心部、ヴァーツラフ広場近くで、クレスティル社が主導するサヴァリン・プロジェクトが、歴史あるサヴァリン宮殿とその周辺地域に新たな命を吹き込んでいます。トーマス・ヘザウィック率いるヘザウィック・スタジオが手がけるこのプロジェクトは、緑豊かな新しい公共空間と商業施設を創出することで、このエリアの活性化を目指しています。
キリアン・イグナーツ・ディーツェンホーファー設計のバロック様式サヴァリン宮殿の再建は2021年末に開始され、2025年夏に第一段階が完了しました。この段階では、イグナーツ・フランティシェク・プラッツェルによる11点のオリジナル・バロック彫刻のレプリカがファサードに復元・取り付けられました。オリジナルの彫刻も修復され、歴史的なディテールが忠実に再現されています。この再建された宮殿内には、2025年2月にミュシャ美術館が開館しました。この美術館は、ミュシャ財団のコレクションを展示しており、世界最大かつ最も包括的なコレクションとして、絵画、ポスター、ドローイング、書籍、写真など、ミュシャの多岐にわたる作品を紹介しています。
サヴァリン・プロジェクトの今後の段階では、歴史的な馬場を中央のシンボルとして再構築し、庭園、カフェ、レストランを備えた新しい広場を創出する計画です。さらに、文化・社会イベントのための多目的施設、新しい地下鉄駅の入り口、そしてミュシャが長年夢見ていた「スラヴ叙事詩」を収蔵するためのギャラリーも予定されています。このプロジェクトは、かつて一般にアクセスしにくかった場所を、市民や訪問者が親しめる活気ある公共空間へと変貌させるものです。約5億チェコ・コルナが宮殿の修復に投資され、歴史的建造物の価値を最大限に引き出しつつ、現代的な機能性を付加しています。サヴァリン宮殿の壮麗なバロック建築と、ミュシャ美術館が提供する豊かな芸術体験の融合は、プラハの文化的な景観に新たな次元をもたらし、訪れる人々に深い感動と発見の機会を提供します。