太陽の表面に、約50万キロメートルに及ぶ巨大な蝶形のコロナホールが出現し、地球に向かって高速の太陽風を放出しています。この現象は、2025年9月11日にNASAの太陽力学天文台（SDO）によって捉えられました。この太陽風は、9月14日頃に地球に到達すると予測されており、地磁気嵐を引き起こす可能性があります。
コロナホールとは、太陽の外層大気であるコロナの中で、比較的温度が低く密度が低い領域のことです。磁力線が宇宙空間に向かって開いているため、太陽風がそこから放出されやすくなっています。これらの太陽風が地球の磁気圏に到達すると、オーロラを発生させたり、通信障害や人工衛星の運用に影響を与えたりする可能性があります。
今回のコロナホールから放出される太陽風は、地球に到達すると活動的な地磁気嵐を引き起こす可能性があり、9月13日から14日にかけては、G1（小規模）からG2（中規模）の地磁気嵐が発生すると予測されています。過去の事例では、このような地磁気嵐が人工衛星の軌道低下を早めたり、通信システムに影響を与えたりしたことが報告されています。例えば、2024年5月の太陽嵐では、スターリンク衛星37基がわずか5日で大気圏に再突入しました。また、太陽活動の活発化は、人工衛星の運用寿命を短縮させる可能性も指摘されています。
NASAの太陽力学天文台は、地球から約9300万マイル（約1億5000万キロメートル）の距離から太陽を継続的に観測しており、この現象の監視を続けています。太陽風は現在地球に向かっており、その影響を評価するために、科学者たちは状況を注意深く監視しています。太陽のダイナミックな性質と、それが地球の宇宙天気や技術インフラに与える影響を理解することは、今後ますます重要になっていくでしょう。宇宙天気予報は、このような太陽活動の影響を予測し、被害を最小限に抑えるための重要な手段となっています。気象庁地磁気観測所も、太陽活動に起因する磁気嵐の予測に貢献しています。