ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡（JWST）は、天王星の周回軌道上で新たに発見された小さな衛星、S/2025 U1を捉えました。この発見により、天王星の既知の衛星数は28から29に増加しました。この衛星は、2025年2月2日にJWSTの近赤外線カメラ（NIRCam）によって初めて観測されました。
S/2025 U1は直径約10キロメートルと推定されており、天王星の衛星の中でも比較的小さな部類に入ります。その微弱さと小ささから、約40年前に天王星をフライバイしたボイジャー2号などの以前の探査機では検出が困難であったと考えられています。この衛星の軌道はほぼ円形であり、現在の位置に近い場所で形成された可能性が示唆されています。
この新しい衛星は、天王星の中心から約56,000キロメートルの距離を公転しており、衛星オフィーリアとビアンカの軌道間に位置しています。この発見は、微弱な天体を探知する上でのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の高度な能力を浮き彫りにしています。
天王星の衛星は、伝統的にシェイクスピアやアレクサンダー・ポープの作品の登場人物にちなんで名付けられています。S/2025 U1は現在、国際天文学連合（IAU）による正式な命名承認を待っています。この発見は、天王星の複雑な衛星系と環のシステムについての理解を深めることに貢献します。
天王星の衛星の発見は、1787年にウィリアム・ハーシェルが発見したタイタニアとオベロンに遡ります。その後、1851年にウィリアム・ラッセルがアリエルとウンブリエルを発見し、1948年にはジェラード・カイパーがミランダを発見しました。ボイジャー2号は1986年の天王星フライバイで10個の小さな内衛星を発見し、その後の地上望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡による観測でさらに多くの衛星が確認されてきました。JWSTによる今回の発見は、これらの探査の歴史における新たな一歩となります。特に、JWSTの近赤外線観測能力は、これまで検出が困難であった微細な天体の発見を可能にし、太陽系の外縁部の理解を深める上で重要な役割を果たしています。