古代イランの洞窟壁画にみる天体観測とフクロウの象徴性

西アジアのアル・マズ・アル・ジャブリー洞窟は、古代芸術と象徴性が息づく場所として注目されています。最近発表された研究によると、イスラム時代以前のイラン東部の洞窟壁画は、古代イラン人が天体現象と深く結びついた世界観を持っていたことを示唆しています。

この研究は、鉄器時代のイランの遺物、特に洞窟壁画や芸術品に焦点を当てています。ヨーロッパの壁画に見られる女性や豊穣、月との関連性を持つシンボルと共通点を持つ「フクロウ」のシンボルが、イランの壁画でも確認されています。イラン東部の遊牧民に関連するとされる洞窟壁画からは、紀元前1500年から紀元前700年頃の鉄器時代の青銅製洞窟地図が発見されており、女性を囲むフクロウの描写は、古い「アムル・アル・ラナルディ」現象との関連性が指摘されています。

さらに、イラン東部で見つかった他の地域の壁画も、フクロウが月や天体現象と強く結びついていることを示しています。アケメネス朝時代の遺物に見られる動物やガゼルの絵は、フクロウが祖先のシンボルとしての概念を強化しています。ユーフラテス川の近くで見つかったフクロウの絵は、雨季との関連性を示唆しており、その行動が時期を判断する一因となった可能性も考えられます。

バクン、テル・ハサール、スーサといったイランの他の地域でも、フクロウが月、太陽、惑星と共に描かれていることが確認されており、古代イランの人々が天文学的な知識を芸術に反映させていたことが伺えます。これらの壁画には、様式化されたフクロウ、円形の模様、星形の彫刻などが含まれており、これらは月や天体現象と関連していると研究は示唆しています。

この研究は、古代芸術におけるフクロウの象徴的な重要性を強調し、豊穣、時間、そして宇宙との繋がりを示唆しています。古代イランでは、天文学は単なる科学的探求ではなく、生活や信仰と密接に結びついていました。天体の動きを記録し、それを芸術や文化に反映させることで、彼らは宇宙との調和を図り、自然界のリズムを理解しようとしたのです。フクロウのシンボルは、夜の闇の中でさえ見通す力を持つことから、知恵や神秘的な知識の象徴としても捉えられてきました。これらの壁画は、古代イランの人々が宇宙の神秘にどのように向き合い、それを自分たちの世界観に取り込んでいったのかを私たちに教えてくれます。