SLACレーザー、高温・高密度物質中の原子温度測定で進歩

編集者: Vera Mo

カリフォルニア州メンローパークにあるSLAC国立加速器研究所(SLAC)の研究チームは、極限状態下の物質(MEC)を利用し、高温・高密度物質中の原子温度を測定するという重要な進歩を遂げました。この画期的な研究は、物質科学の分野に新たな地平を切り開くものです。

研究チームは、SLACのMECレーザー施設を用いて、金(Au)のサンプルを約19,000ケルビン(約18,726℃)まで急激に加熱しました。この温度は金の融点の14倍以上にも相当しますが、驚くべきことに、サンプルは融解せずに固体の構造を維持していました。この現象は、物質を非常に速い速度で加熱することにより、膨張を防ぎ、固体状態を保つことができるという理論を裏付けるものです。

この発見は、物質が極限的な温度条件下で示す挙動についての理解を深めるだけでなく、将来的に超高温状態での物質の限界を探求する新たな可能性を示唆しています。研究者たちは、この急速加熱技術を用いることで、超加熱された物質に対して上限温度が存在しない可能性を提唱しています。この研究成果は、科学雑誌『Nature』に掲載され、極限温度下における物質の研究に新たな道を開きました。

SLACのMEC(Matter in Extreme Conditions)施設は、高エネルギーレーザーを用いて極限状態の研究を行うための最先端施設です。この施設では、短パルスレーザー技術が活用されており、物質のダイナミクスをフェムト秒(1000兆分の1秒)単位で捉えることが可能です。このような技術を用いることで、これまで観測が困難であった物質の相転移や、プラズマ状態への遷移といった現象の詳細な解析が可能になります。

この研究は、物質科学における基礎的な理解を深めるだけでなく、将来の材料開発やエネルギー研究にも貢献する可能性があります。例えば、極限状態での物質の挙動を理解することは、核融合エネルギーの研究や、惑星内部のような極限環境下での物質の振る舞いを解明する上で不可欠です。SLACでは、レーザー加速器のアップグレードも進められており、より高エネルギーでの実験が可能になることで、物質科学のさらなる発展が期待されています。

ソース元

  • Periodista digital

  • Temperatura - Noticias

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