エジプト当局は、アブキール湾で発見された水没都市の遺物を公開しました。この都市は古代都市カノープスの一部と考えられており、2000年以上前の建造物、遺物、古代の港湾施設が含まれています。
この水没都市は、地震と海面上昇によって沈んだと推測されています。発見された遺物には、ラムセス2世のカートゥーシュを持つスフィンクスや、ローマ帝国以前の王族およびスフィンクスの像が含まれています。また、礼拝や居住に使われた可能性のある石灰岩の建造物や、貯水池、養殖用の池なども見つかっています。
125メートルの港湾施設からは、商船、石の錨、港湾クレーンが発見されており、これらはビザンツ時代まで小型船の港として利用されていました。エジプト観光・考古省大臣のシェリフ・ファティ氏は、特定の遺物のみが引き上げられ、残りは水中の遺産として保存されると述べています。
発見場所であるアレクサンドリアは、気候変動と海面上昇による深刻な脅威に直面しており、2050年までに都市の3分の1が水没すると予測されています。この状況を受け、エジプトはアブキール湾に水中博物館を建設する計画を検討しており、水没した古代都市を文化観光の魅力として展示することを目指しています。この水中博物館の構想は1996年から存在し、フランスの建築家ジャック・ルージュリ氏のデザイン案も存在します。この博物館は、海底トンネルを通じて遺跡を間近に見学できる施設となる予定です。このプロジェクトは、エジプト政府だけでなく、複数の民間企業からの資金提供も受ける見込みです。この水中博物館は、世界初の試みとなる可能性があります。