スペインは現在、全国的な気温の上昇と深刻な山火事の状況に直面しており、厳しい熱波に見舞われています。エストレマドゥーラ州では高温警報が発令され、ベガス・デル・グアディアナでは最高41℃、他の地域でも40℃に達する予報が出ています。これらの警報は、日中の最も暑い時間帯である午後1時から午後9時まで有効です。
この極端な暑さは山火事の危機を深刻化させており、これまでに115,000ヘクタール以上の土地が炎に焼かれ、少なくとも3人の死亡が報告されています。サモラ、ガリシア、カセレスなどの地域では大規模な火災が続いており、モレズエラ・デ・ラ・カルバエダの火災だけでも31,500ヘクタール以上が焼失しました。欧州森林火災情報システム（EFFIS）のデータによると、2025年の初旬までにスペインでは約100,000ヘクタールが山火事で焼失しており、これは前年同期の42,615ヘクタールと比較して倍増しています。2025年には199件の火災が発生し、98,784ヘクタールが焼失しましたが、これは2024年の同時期に比べて大幅な増加です。スペインの山火事の歴史の中で最も深刻だった2022年には、8月中旬までに306,000ヘクタール以上が焼失しました。
スペインの山火事シーズンが近年激しさを増している背景には、気候変動に直接関連する、より暑く乾燥した夏があります。欧州全体で見ても、今年の山火事による焼失面積は500,000ヘクタールを超え、過去20年間の平均と比較して134%増加しています。欧州連合（EU）の市民保護メカニズムは、今年の火災シーズン中に既に16回発動されており、2025年の発動回数は2024年全体の合計に匹敵します。
スペイン環境大臣は、これらの熱波によって引き起こされた山火事を気候非常事態の「明確な警告」と表現し、スペインが地球温暖化に対して特に脆弱であることを強調しました。スペインは、気候変動が熱波と乾燥の頻度と強度を増幅させ、地域を健康被害や山火事に対してより脆弱にしていると指摘しています。2025年8月21日から26日にかけて、スペインでは気候変動によって発生確率が5倍になった熱波が予想されており、約2600万人が、炭素汚染の影響なしにはほぼあり得ないような気温を経験すると見られています。これは、2020年1月にスペイン政府が「気候非常事態」を宣言し、再生可能エネルギーへの移行と2050年までの気候中立を目指す方針を示したこととも関連しています。
当局は、ピーク時の日差しを避け、十分な水分補給を行い、身体活動を減らすよう国民に強く呼びかけています。現在の熱波は8月18日まで続くと予測されており、大西洋からの空気塊の影響で気温が低下する可能性があります。この状況は、国全体の消防資源の予防策と専門性の向上という、増大するニーズを浮き彫りにしています。スペインは、消火活動を支援するために欧州連合に2機の空中消火機を含む支援を要請しました。これらの出来事は、自然の力強さと、それに対応するための人類の集合的な知恵と行動の必要性を示唆しています。