カテゴリー12~13の勢力に発達し、突風はカテゴリー16に達する勢力の台風が、ベトナム沿岸に向かってゆっくりと移動しており、その勢力を増しています。この嵐の約15km/hという遅い移動速度は、さらなるエネルギーを蓄積させ、勢力を強める可能性を高めています。
北部平野、フー・トー南部、そしてタイン・ホアからトゥア・ティエン・フエにかけての広範囲で、激しい降雨が予想されています。特にタイン・ホアとフエでは、3時間で200mmを超える降雨量となる可能性があり、急速かつ深刻な洪水への懸念が高まっています。沿岸部では、クアン・ニンからニン・ビンにかけてレベル6~7の強風が吹き、突風はレベル8に達しています。内陸部では、タイン・ホアからクアン・トリにかけてレベル7~9の風が予想され、台風の目の付近ではレベル10~12、突風はレベル14~15に達する地域もあります。
このゆっくりとした台風の進行は、地域社会に長期間にわたる影響をもたらす可能性を示唆しています。過去の研究では、熱帯低気圧の移動速度が低下する傾向が示されており、これは地球温暖化の影響とも関連付けられています。移動速度の低下は、局地的な降雨量を増加させ、洪水や土砂災害のリスクを高めることが指摘されています。例えば、ハリケーン・ハービーのような事例では、その遅い移動が壊滅的な被害を引き起こしました。今回の台風も、その遅い動きによって、より多くの雨を降らせ、広範囲にわたる浸水や土砂崩れを引き起こす潜在的な危険性をはらんでいます。
この状況を受け、ベトナム当局は大規模な避難計画を進めています。タイン・ホア、クアン・トリ、フエ、ダナンといった中部沿岸地域を中心に、58万6千人以上の住民が安全な場所への移動を求められています。7つの沿岸省では、船舶の出港が禁止され、多くの漁船が港に避難しています。ベトナム航空は、日曜日と月曜日にかけて中部地域を発着する少なくとも22便のフライトをキャンセルしました。これらの措置は、住民の安全確保と被害軽減に向けた、社会全体の協力と準備の重要性を示しています。農業、物流、IT・BPOなどの産業も、インフラへの被害や事業中断のリスクに直面しており、事業継続計画の重要性が改めて浮き彫りになっています。
住民に対し、気象予報を注意深く監視し、この深刻な気象現象に関連するリスクを軽減するために必要な安全対策を講じることが強く推奨されています。台風はタイン・ホアとクアン・トリ北部との間で上陸すると予想されており、広範囲にわたる混乱をもたらすでしょう。この状況は、自然の力に対する深い敬意と、地域社会全体での連帯した対応が、困難な時期を乗り越えるための礎となることを示しています。