パキスタンでは、モンスーン期の豪雨により、特にギルギット・バルティスタン地域を中心に甚大な被害が発生しています。氷河湖決壊洪水（GLOFs）が引き金となり、多くの家屋やインフラが破壊されました。激しい雨は鉄砲水を引き起こし、村々を水没させ、地滑りを誘発しています。これにより、農地が浸水し、道路網にも被害が出ています。当局によると、被災地の約80％が浸水に見舞われています。避難民への支援のため、救助活動が進行中であり、瓦礫の撤去やライフラインの復旧に焦点が当てられています。
これまでの評価では、ギルギット、バルティスタン、その他の地区で約330軒の家屋が被害を受けました。さらに、数十の商店や企業も損害を被っており、現在も被害状況の調査が続けられています。パキスタン気象局（PMD）は、今後数日間の降雨量増加を見込み、複数の地区に最高レベルの警報を発令しました。この状況の悪化は、被災地域の住民の安全と財産に深刻な脅威をもたらしており、降雨の激しさが増すことで、既存の被害が悪化し、救援活動が妨げられています。
最近の報告によると、パキスタンでは8月11日から21日にかけて、平年を250％も上回る降雨量を記録しました。特にギルギット・バルティスタン地域では平年比235％増となり、シンド州では状況が一変しました。この地域では、8月の最初の10日間で平年を99％下回っていた降雨量が、その後の数日間で平年を155％上回るという劇的な変化が見られました。パンジャブ州では、8月23日から始まるモンスーンの8回目の襲来に備え、州防災管理庁（PDMA）が最高レベルの洪水警報を発令しました。同庁は、州内の河川、特にスルトゥージ川の水位上昇を警告しており、ガンダーシンワラ地点の水量はすでに10万キューセックに達しています。PDMAの報道官は、この増加の一部はインドの貯水池からの放水によるものであり、隣接する地区での洪水リスクを高めていると付け加えています。
パンジャブ州全域の降雨予報では、8月23日から27日にかけて、河川上流域の水位上昇の可能性があります。8月22日の夜から、西風が州の上流域に入り込み、ラワルピンディ、ムリー、ガリヤット、アトック、チャクワル、ジェラム、マンディバハディン、グジュラート、シアールコート、ナロワル、グジュランワラ、ハフィザバード、ワジラバードを含むパンジャブ州でさらなる降雨をもたらすと予想されています。ラホール、カスール、シェフプラ、サルゴダ、ジャン、ミアンワリ、クシュサブ、トバテクスィン、ナンカナサヒブでも雨が予測されており、デラガジカーン、ムルタン、バハウラプル、ラジャンプルなどの南部地区でも同様です。
さらに、北パキスタンでは、気温上昇によるヒンドゥー・クシュ山脈、カラコルム山脈、ヒマラヤ山脈の氷河の融解により、ギルギット・バルティスタン（GB）とカイバル・パクトゥンクワ州に3,044の氷河湖が形成されています。これらの氷河湖のうち33は危険であり、氷河湖決壊洪水（GLOFs）を引き起こす可能性が高いと推定されています。このような洪水は、数時間で数百万立方メートルの水と土砂を放出し、パキスタンの最も遠隔な地域で人命、財産、インフラの破壊、そして生計への深刻な損害をもたらしています。現在、GBとKPでは710万1千人が危険にさらされています。最近では、2015年7月にGBとKPで28万人以上が被災しました。これは、大雨とGLOFsの組み合わせによるものです。