地球磁気圏近傍で太陽特有の磁気スイッチバックを検出、宇宙天気予測モデルに影響

科学者たちは、地球の磁気圏近傍において、これまで太陽の至近距離でのみ観測されてきた特異な磁気構造、「スイッチバック」を特定した。この発見は、太陽物理学と惑星物理学の境界領域における理解を深める重要な一歩となる。NASAの磁気圏マルチスケール（MMS）ミッションのデータが、地球の磁気的境界の外側領域である磁気圏鞘で、このねじれた磁気構造を捉えた。MMSミッションは、2015年3月に地球を周回する楕円軌道に投入され、磁気リコネクションの微小物理を研究するために設計された4機の同一の宇宙船で構成されている。

このハイブリッド構造は、太陽風によって引きずられる太陽の磁力線と、反対方向に配向した地球の磁力線との爆発的な再接続（リコネクション）から形成されると見られている。太陽の近くでは、NASAのパーカー太陽探査機がこれらの構造を爆発的なエネルギー放出として観測していたが、今回、研究者のアンドリュー・マクドゥーガル氏とマシュー・アーガル氏が、地球の磁気シールドの乱流外層である磁気シースで同様の現象を特定した。MMS宇宙船は、太陽風プラズマと地球磁気圏のプラズマがねじれた後、元の位置に戻り、明確なねじれを残す様子を検出した。

地球の磁気圏界面での磁気再接続は、人工衛星や電力網の運用を混乱させる可能性のある地磁気嵐の主要な駆動力である。地球近傍でのスイッチバックの存在は、太陽物質が地球の磁気防御を突破する、これまで認識されていなかったメカニズムを示唆している。もしこれらのスイッチバックが局所的に形成されるのであれば、それらは局所的な地磁気嵐の着火点として機能したり、オーロラの表示を予測不能な形で激化させたりする可能性がある。国立研究開発法人情報通信研究機構（NICT）などが提供する現在の宇宙天気予報は、これらの新たな現象を考慮に入れる必要があり、モデルの改訂が求められる。

この知見は、地球の磁場が局所的な乱流を生成または増幅する能力を持つことを示唆しており、既存の宇宙天気予測モデルの修正が必要となる。磁気圏の構造と変動は、太陽風の作用によって大きく変化し、地球の磁気圏は太陽方向には地球半径の約10倍まで広がるが、反太陽方向には長い尾を引く。MMSミッションは、テトラヘドロン（ピラミッド）形状で飛行し、遭遇する再接続点の三次元構造を捉えることを可能にしている。この発見は、スイッチバックが恒星だけでなく、惑星の磁気環境においても普遍的な特徴である可能性を示唆しており、太陽系物理学の実証的科学としての発展に寄与する。これらのプロセスを解明することは、社会の軌道インフラへの依存度が高まる中で、宇宙天気予報の精度向上に不可欠である。